HOME >BLOG
平成23年度税制改正
先日、政府税制調査会の平成23年度税制改正案が公表された。
法人税に関する主な項目は以下の通り。
①法人税率の引き下げと課税ベースの拡大
②減価償却制度の見直し
③研究開発税制の見直し
④各種準備金の見直し
⑤受取配当の益金不算入の見直し
これに対し、経済産業省が課税ベース拡大案として、繰越欠損金の使用制限案を提示した。
これにより平成23年度改正では、減価償却制度と繰越欠損金制度について何らかの見直しが確実視されるようになりました。
減価償却制度は、平成19年度改正でもかなり大きな制度変更を行っておりますので、朝令暮改の印象を拭えません。
また、繰越欠損金については、繰越期間を7年から5年に戻す議論もあるようですが、そもそも繰越欠損金は5年だったものを7年に延長した経緯があります。
立法趣旨や改正趣旨を顧みない税制改正は企業会計を混乱させるだけです。
目先のことだけを考えた税制改正は、後々自らの首を絞めることになりますので、きちんと議論して欲しいものです。
セミナー講師、やります。
今月16日(火)に税理士事務所や会計事務所に勤める職員向けのセミナー講師をやります。
大和ハウスPDB部会からの要請で資産税に関するセミナー講師を務めることになり、テーマは「土地評価」。
主に相続税や贈与税の申告をする際に必要となる土地評価の知識ですが、なかなか奥深いテーマです。
土地評価といいますと、財産評価基本通達という国税庁が公表している評価通達に則って計算することが常識となっていますが、実はこの評価通達はあくまでも国税庁内部における行政通達であって、国税庁内部では法的拘束力を有しますが、我々納税者には法的拘束力がありません。
しかしながら、実務では評価通達に則って土地評価を行うことが常識となっていますから、税理士ですら評価通達によらない評価でも良いということを知らない人がいます。
もっとも、評価通達によらない評価を課税庁がすんなり受け入れるはずはありませんので、評価通達を使用しない場合にはきちんとした理論武装が必要になります。
このあたりの話題も交えて、土地評価の基本のお話をしたいと思います。
贈与税の配偶者控除は相続税の節税に応用できます。
相続税を計算する場合において、その亡くなった方(被相続人)から亡くなる3年前に贈与により取得した財産がある場合には、その価額を相続税の課税価格に加算して相続税額をいったん計算し、そこから既に納めた贈与税額を控除することになっています。
ところで、贈与税には配偶者控除というのがありまして、その内容はといいますと以下の通りです。
婚姻期間20年以上の配偶者に対し、居住用不動産又は居住用不動産を購入するための金銭を贈与した場合には、贈与税の課税価格から2,000万円を控除することができる。
そうすると、相続開始年だと贈与税の配偶者控除が受けられないのか、という疑問が生じます。
例えば、今年の1月に夫から自宅を贈与され、贈与税の配偶者控除を受けるつもりでいたところ、3月に夫が亡くなってしまったようなケース。
このような場合、相続開始前3年以内の贈与は相続税の課税価格に算入されるため、贈与税の配偶者控除の適用を受けることができないのか???
答えは、上記のような場合であっても贈与税の配偶者控除の適用を受けることができます。
相続税の申告書に贈与税の配偶者控除の適用を受ける旨を記載して、相続税の申告書とは別に贈与税の申告書を提出すればOKです。
そして、これは応用すれば相続税の節税に使えます。
灯台もと暗しではないですが、税理士でも意外と気付かない方もいらっしゃいます。
実行税率だけを議論する不思議
来年度の税制改正論議が新聞の紙面を盛んに賑わせています。
その中の主要項目の一つとして取り上げられている法人税の実効税率の引き下げ論。
法人税の税率を下げることが、日本経済の活性化にいくばくかでも貢献するのであればもちろん賛成です。
しかし、実効税率を下げろと主張する方々の議論を聞いていると、その論調にいささか説得力の無さを感じます。彼らの多くは、諸外国と比較して日本の税率は高い、だから外国から日本に進出しようとする企業が少ない、あるいは、日本企業の国際競争力を妨げている、と主張する。
こういった論調は間違ってはいないと思いますが、実は、実効税率を下げるだけでは日本に進出する企業は増えないでしょうし、日本企業の国際競争力もたいして強くなりません。
その理由は以下の通りです。
例えば、Aという国にある企業の今期の収入が1,000、経費が800だったとします。
会計上は差し引き200が利益ということになりますが、この200に対していきなり税率を乗じて税金を計算するわけではありません。
国により政策的に、800のうち700しか法人税を計算する上で経費とは認めない、あるいは600しか経費とは認めない、ということがあるわけです。
日本であれば、交際費や寄付金はある一定の限度額が設けられていて、支出した金額の全てが法人税を計算する上での経費となるわけではありません。
交際費について、フランスは全額経費計上が可能ですが、アメリカは50%だけ経費計上が可能、ドイツは70%が可能、というように国によって違いがあるわけです。
(ちなみに日本は大企業は全額経費計上不可、中小企業は600万円までの90%だけが経費計上可能でそれを超える部分は不可となっています。)
このように、同じ金額の所得であっても、税率を乗じる前の段階で国によって違いがあるのですから、そこから議論を始めないと何の意味もないわけです。
しかし、こういうことをマスコミはあまり報道しませんし、代議士でこういったことに言及しているのを聞いたことは少なくとも私はありません。
民主党政権になってから増税ばかりの税制改正が目立ちますが、折角の減税論議なのでしっかりと検討して頂きたいと思います。
【PR】 法人設立手数料無料で承ります。詳細は当事務所までご連絡下さい。
22年税制改正 小規模宅地等の減額の具体例(その4)
<承前>
改正前は、被相続人が不動産貸付業を行っていた宅地(賃貸ビルなどの敷地)については、誰が相続しようとも200㎡まで50%の評価減が可能でした。
改正後は、その宅地を相続した人がその不動産貸付業を引き継いで、申告期限までその宅地を保有していない限り小規模宅地等の減額は適用できなくなりました。
納税資金がないから賃貸ビルを売却してその代金を納税資金に充当しようとすると、小規模宅地等の減額が適用できなくなりますので要注意です。
<具体例>
父親が賃貸ビルを保有していた。土地200㎡で相続税評価額1億円と仮定
↓
父死亡
↓
納税資金が無いのでこの賃貸ビルを売却して、その代金を納税に充てた。
↓
相続税の申告期限を迎えた。
改正前は不動産貸付業を継続する人がいなくても小規模宅地等の減額が適用できました。
1億円×50%=5,000万円が評価額から減額された。
改正後は不動産貸付業を継続しない場合、小規模宅地等の減額の適用なし。
よって1億円の評価額のまま。評価額にして5,000万円の実質増税です。
納税資金があるかどうかも含め、事前のタックスプランニングが重要です。