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22年税制改正 小規模宅地等の減額の具体例(その2)
<承前>
改正前は被相続人が居住していた宅地については、誰が相続しても200㎡まで50%の減額が可能でした。
改正後は、「特定居住用宅地等」の要件を満たさない者が取得した宅地については、小規模宅地等の減額は適用されなくなりました。
<具体例>
被相続人は夫に先立たれ、同居親族もなく1人で居住していた。
その家屋と土地を相続した息子は既に自宅を所有してその家族とともに生活している。
家屋の評価額1,000万円、土地の評価額9,000万円(240㎡)と仮定
改正前は誰が相続しても小規模宅地等の減額が適用できました。
土地9,000万円×200㎡/240㎡×50%=3,750万円が評価額から減額された。
よって評価額の合計は家屋1,000万円+土地(9,000万円-3,750万円)=6,250万円
改正後は、「特定居住用宅地等」の要件を充足しないため小規模宅地等の減額の適用なし。
よって評価額は家屋1,000万円+土地9,000万円=1億円
評価額にして3,750万円の実質増税です。
※特定居住用宅地等
被相続人が居住していた宅地等で、その配偶者か、次のいずれかの要件を満たすその被相続人の
親族が 相続又は遺贈により取得したものをいいます。
・その親族が、その被相続人と同居していた者であって、その土地を相続してそのまま居住し続けること。
・被相続人に配偶者又は同居親族がいない場合であって、自己所有の不動産を持たずに別に居住して
いた親族(息子など)が、その土地を相続して、相続税の申告期限までにその土地を保有していること。
(注意)
上記はわかりやすくするために条文の用語とは異なる言葉を使用しています。
22年税制改正 小規模宅地等の減額の具体例(その1)
平成22年度の税制改正により、相続税の小規模宅地等の減額が改正され、実質的増税となりました。
以下、具体的事例を用いて改正の内容を解説します。
改正前は、被相続人の事業に使っている宅地については、相続人がその事業を継続しなくても200㎡まで50%の評価減が可能でした。
改正後は、被相続人が営んでいた事業を相続人が継続し、且つ、その宅地を相続税の申告期限まで継続して保有していないと小規模宅地等の減額は適用できなくなりました。
<具体例>
父親が自己が保有する土地と建物でイタリアンレストランを経営
土地200㎡で相続税評価額1億円と仮定
↓
父死亡
↓
誰も事業を継続する人がいないので廃業
↓
相続税の申告期限を迎えた。
改正前は事業を継続する人がいなくても小規模宅地等の減額が適用できました。
1億円×50%=5,000万円が評価額から減額された。
改正後は事業を継続する人がいないので小規模宅地等の減額の適用なし。
1億円の評価額のまま。評価額にして5,000万円の実質増税です。
今後はこういった改正を踏まえてタックスプランニングを実施する必要があります。
本日から大学院の講義が始まります。
本日より、早稲田大学大学院会計研究科で私が担当している法人税の演習科目の講義がスタートします。
後期は来年1月までの全6コマ。
公認会計士試験に向けて、法人税の計算問題をさせてその解説をする講義です。
私が大学院の非常勤講師を担当するようになったのは平成17年4月ですので、もう5年目になります。
大分慣れてはきましたが、わかりやすく解説するのは結構大変です。
頑張ります。
住宅エコポイントは収益計上が必要です。
住宅エコポイントとは、エコ住宅を新築した場合にポイントが付され、そのポイントを商品や商品券と交換したり、工事代金に充当したりすることができる制度です。
この住宅エコポイントの法人税法上の取扱いですが、商品や金券などと交換した場合、あるいは追加工事代金に充当した場合などは、1ポイントを1円で換算して収益計上が必要となります。
また、追加工事を実施してポイントを取得し、そのポイントを工事代金に充当する即時交換制度を利用した場合には、当該ポイント相当額は補助金ではないので圧縮記帳の対象にはなりません。
個人であれば一時所得として課税の対象となります。
消費税法上の取扱いですが、エコポイント相当額は不課税です。
ですので、例えば、本来100万円の工事代金が必要なところ、エコポイント30万円相当額を控除し、70万円を支払った場合の仕訳は以下のようになります。
(借方) (貸方)
建物 100万円 現預金 70万円
雑収入 30万円
このとき、建物は通常全額課税仕入れ、雑収入は不課税売上、となります。
相殺して計上することはできませんので注意が必要です。
新規開店パーティーなどでお祝い金をもらった場合の取扱い
新店舗の開店パーティーや設立20周年記念パーティーなどで、来賓等の参列者からお祝い金をもらうことがありますが、経理上、このお祝い金の取扱いには注意が必要です。
会社経理の担当者或いは社長から
「もらったお祝いはパーティー等の開催費用と相殺で良いですよね?」
と聞かれることがあるのですが、
お祝いで頂いた祝儀金はパーティー等の開催費用と相殺はできません。
あくまでも支出した金額を交際費に計上し、
頂いた祝儀金は雑収入に計上します。
相殺して計上し税務署に否認された後、訴訟にまで発展して結局納税者が敗訴した事例は数多くあります。
(例えば、東京地裁平成元年12月18日判決、最高裁平成3年10月11日判決など)
お祝い金を頂いた場合には注意が必要です。