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延滞税について
延滞税は,本税が法定納期限を経過しても納付されない事実が生じた場合に,行政上の制裁として課される附帯税の1種であり,期限内に納付した者との間の負担の公平の確保,滞納防止,滞納となった国税の早期納付を促すこと等を目的としています。
延滞税の課税要件は次のとおりです。
(1) 期限内申告書を提出した場合において,当該申告書の提出により納付すべき国税をその法定納期限までに完納しないとき。
(2) 期限後申告書若しくは修正申告書を提出し,又は更正・決定を受けた場合において,納付すべき国税があるとき。
(3) 納税の告知により納付すべき国税(加算税及び過怠税を除く)をその法定納期限後に納付するとき。
(4) 予定納税に係る所得税をその法定納期限までに完納しないとき。
(5) 源泉徴収等による国税をその法定納期限までに完納しないとき。
補足しますと,申告納税方式による国税は,法定申告期限までにする期限内申告によって納税義務を確定させ,これを本来の納期限である法定納期限までに納付することが義務づけられているところ,上記(1)は,期限内に申告書は提出したが,期限内に納税すべき税額を完納しない場合には,この未納額は納付遅滞となり延滞税が課税されます。
上記(2)は,期限内申告により納税義務が確定されないときは,納税者側からは期限後申告により,課税当局側からは決定により,それぞれ納税義務が確定されるのですが,法定申告期限と法定納期限は同一であることが原則となっているため,これらの手続きにより確定された納付額は納付遅滞となり延滞税が課税されます。
また,税務調査等を経て,期限内申告,期限後申告又は決定により確定された納付すべき税額に不足額があるときは,納税者側からは修正申告により,課税当局側からは更正によりその不足分の納付すべき税額が確定されるのですが,その不足分の納付すべき税額に対して延滞税が課税されます。
参考までに,更正とは提出された申告書を課税当局が職権で訂正する行政処分であり,決定とは無申告だった場合に課税当局が職権で納税額を確定させる行政処分をいいます。
延滞税の税率は,延滞税が課税される国税につき,原則として,その法定納期限の翌日から,その国税を完納する日までの期間の日数に応じ,その未納に係る本税の額に年14.6%の割合を乗じて計算した額です。
ただし,納期限までの期間又は納期限の翌日から起算して二月を経過する日までの期間については,その未納に係る本税の額に年7.3%の割合を乗じて計算した額に軽減されています。
なお,この延滞税の割合は,現下の低金利下の状況を踏まえ,租税特別措置法により軽減措置が講じられており,各年の延滞税特例基準割合が年7.3%に満たない場合には,その年中においては,年14.6%の割合にあっては当該延滞税特例基準割合に年7.3%を加算した割合とし,年7.3%の割合にあっては当該延滞税特例基準割合に年1%を加算した割合(当該加算した割合が年7.3%を超える場合には年7.3%の割合)となります。
上記の延滞税特例基準割合とは,各年の前々年の9月から前年の8月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合に,年1%の割合を加算した割合をいいます。
ちなみに令和7年におけるそれぞれの割合は,14.6%は8.7%に,7.3%は2.4%になります。
延滞税の計算期間ですが,原則として法定申告期限から1年間に限ります。
これは,法定申告期限から1年以上も経過した後に修正申告書の提出や更正があったような場合において,全期間について延滞税を課税することは納税者にとって酷であること,課税当局の都合で税務調査等の時期が異なるため公平性に欠けること,といった理由からです。ただし,偽りその他不正の行為により国税を免れていた場合には,延滞税の計算期間は1年間に限られず,全期間となります。