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配偶者に対する相続税額の軽減

2025-08-18(月) 18:02:05

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配偶者に対する相続税については,

①同一世代間における財産の移転であること,

②配偶者は被相続人の遺産の形成に寄与していること,

③被相続人の死亡後における生存配偶者の生活保障を考慮する必要があること,

などの理由により,軽減措置が講じられています。

 

<配偶者の相続税額の軽減額の計算方法>

計算方法の概要は次のとおりです。

 

相続税の総額 × A/B

 

A=課税価格の合計額のうち配偶者の法定相続分相当額(1億6千万円に満たない場合には1億6千万円)と配偶者の実際取得額とのうちいずれか少ない方の金額

B=課税価格の合計額

 
よって,配偶者は取得財産が1億6,000万円までは相続税は課税されません。

あるいは,相続財産のうち法定相続分(多くは1/2)までは相続税は課税されません。

この場合の「配偶者の法定相続分」は,相続の放棄があった場合でも,その放棄がなかったものとした場合における相続分をいいます。

 

<配偶者の範囲>

配偶者は,その被相続人との婚姻について,婚姻の届出をしている者に限られます。

事実上婚姻関係と同様の事情にある者であっても婚姻の届出をしていないいわゆる内縁関係にある者は含まれません。

 

<税額軽減の計算の基礎となる財産>

また,「配偶者の実際取得額」は,原則として,相続税の申告書の提出期限までに分割されていない財産は含まれません。

ただし,その分割されていない財産が申告期限から3年以内に分割され配偶者が取得した場合,又は3年を経過するまでに分割されなかったことにつき相続又は遺贈に関し訴えの提起がされたなどのやむを得ない事情があり,これにつき税務署長の承認を受け,その事情が解消した日の翌日から4か月以内に分割されて配偶者が取得した場合には,「配偶者の実際取得額」に含まれます。

 

実務的には,申告期限までに分割されていない財産(未分割財産)がある場合には,その未分割財産を含めないところで配偶者の相続税額の軽減を適用した相続税の申告書を提出及び納税し,その後,申告期限から3年以内にその未分割財産が分割された場合,又は,やむを得ない事情が解消された場合で,その財産について配偶者の相続税額の軽減の適用を受ける場合には,更正の請求を行うこととなります。

 

<隠ぺい又は仮装行為があった場合>

その相続に係る相続税の納税義務者が,被相続人の配偶者の課税価格の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし,又は仮装し、その隠ぺいし,又は仮装したところに基づき相続税の申告書を提出し,又は提出していなかった場合において,その配偶者が相続税の調査があったことにより更正又は決定があるべきことを予知して期限後申告書又は修正申告書を提出するときは,これらの申告書に係る相続税額について,配偶者の相続税額の軽減を適用する場合には,その隠ぺいし,又は仮装した財産を含めないで計算します。

これにより,隠ぺい又は仮装した財産については,配偶者の相続税額の軽減は適用されないこととなります。

 

<申告手続と添付書類>

配偶者に対する相続税額の軽減の適用を受けるためには,相続税の申告書(期限後申告書及び修正申告書を含む)又は更正の請求書にその適用を受ける旨及びその計算に関する明細を記載し,次に掲げる書類を添付して提出しなければなりません。

この軽減により納税額がゼロとなる場合であっても同様です。

 

①遺言書の写し,遺産分割協議書の写し(当該協議書に全共同相続人及び包括受遺者が自署し,自己の印を捺印しているものに限る),その他の財産の取得の状況を証する書類(生命保険金や退職金の支払通知書など)

 

②遺産の全部又は一部に未分割財産がある場合には,その旨並びに分割されていない事情及び分割の見込みの詳細を記載した書類(申告期限後3年以内の分割見込書)

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