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償却資産税について

2025-07-09(水) 09:54:25

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固定資産税は,土地,家屋及び償却資産という3種類の固定資産を課税客体とし,その所有者を納税義務者として,当該固定資産の所在する各市町村(東京都特別区は東京都)が課する地方税です。

 

土地及び建物は概ね不動産登記法におけるこれらの定義と同義ですが,償却資産という名称は一般的にはあまり馴染みがないかも知れません。

 

地方税法における償却資産とは,土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産で,その減価償却費が必要経費に算入されるもののうち,その取得価額が少額である資産その他の政令で定める資産以外のものをいいます。

ただし,無形減価償却資産及び自動車税の課税客体である自動車並びに軽自動車税の課税客体である軽自動車等は除かれます。

 

言い回しがやや複雑な条文となっていますが,要するに土地及び建物以外の事業用資産全般であり,その種類と具体例は次のとおりです。

1.構築物(建物附属設備を含む)

(1)舗装路面,庭園,門・塀・緑化施設等の外構工事,看板(広告塔等),ゴルフ練習場設備等

(2)建物所有者が取り付けた建物附属設備のうち受変電設備,予備電源設備,中央監視制御装置等

(3)テナントが賃借している家屋に施工した内装等

2.機械装置

3.船舶

4.航空機

5.車両及び運搬具

6.工具,器具及び備品

事務机,事務椅子,陳列ケース,テレビ,パソコン,プリンター,ルームエアコン,応接セット,レジスター,自動販売機,金庫,ゲーム機器等

 

償却資産に課される固定資産税を,通称,償却資産税といいますが,償却資産税は土地や家屋に課される固定資産税とは異なり,自らが償却資産をその取得価額とともに申告する必要があります。

 

ところで,家屋には,電気設備,給排水設備,衛生設備,空調設備,運搬設備等の建築設備(家屋と一体となって家屋の効用を高める設備)が取り付けられていますが,これらは家屋として固定資産税が課されるものと,先の具体例に示したとおり償却資産として償却資産税が課されるものとがありますので,償却資産を申告する際には,家屋として固定資産税が課される建物附属設備を申告しないように注意が必要です。

 

建物附属設備のうち,何が家屋評価に含まれて何が償却資産として申告すべきかの判断は難しいのですが,家屋内部にある設備は家屋評価に含め,家屋内部には設置されない設備及び屋外設備は償却資産として申告が必要と考えて概ね良さそうです。

 

実務的には各市町村が用意している償却資産申告の手引き等を参考に判断しますが,一定規模以上の事業用ビル等の場合には,建物完成時に市町村役場の固定資産税課等と協議し,各設備が家屋評価に含まれるのか償却資産に該当するのかの確認をして,その後の申告に備えたりします。

 

なお,テナント等の賃借人が取り付けた事業用の内装・造作及び建築設備等については,全て償却資産として取扱われます。

 

次に,「その取得価額が少額である資産その他の政令で定める資産」は償却資産から除かれるのですが,具体的には次のとおりです。

・取得価額10万円未満の資産のうち一時に損金算入したもの

・取得価額20万円未満の資産のうち3年間で一括償却したもの

・一定のリース資産のうち取得価額が20万円未満のもの

 

なお,中小企業特例(青色申告法人である中小企業者等が取得した取得価額30万未満の減価償却資産は一時の損金に算入できるという特例)を適用して損金算入した資産は上記の少額の減価償却資産には該当しないため,償却資産の申告が必要となります。

 

また,取得価額10万円未満又は20万円未満であっても,一時の損金算入又は一括償却を選択せずに個別減価償却を選択した資産についても,償却資産の申告が必要となります。

 

償却資産税は地味な税目ですが,法人税や所得税の取扱いと連動する事項が多く,意外と複雑な部分もあるので申告する際には注意が必要です。