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給与所得者の特定支出控除について
サラリーマン等の給与所得者は,確定申告をしなくても会社の年末調整で課税関係が終了しているケースが一般的ですが,確定申告をすることで税金が還付される場合があります。
医療費控除や住宅ローン控除等は広く知られていますが,あまり知られていない制度として「給与所得者の特定支出控除」というものがあります。
この制度は平成25年分から大幅に改正されましたので,今後は多くのサラリーマンに適用されるかも知れません。
給料については,その給与額面から給与所得控除というものを控除します。
この給与所得控除は,サラリーマンに認められた概算経費みたいなもので,この控除は日本中の全ての給与所得者が適用しています。
そして,実はこれ以外に,「特定支出控除」というものを控除することができるのです。
「特定支出」をした給与所得者は,1年間における特定支出が一定の金額を超えた場合に控除が認められます。
控除の対象となる「特定支出」の範囲は次の通りです(⑥と⑦は改正により付け加わりました)。
①一般の通勤者が通常必要である通勤費
②転勤に伴う引越のために通常必要である引越費用
③職務に直接必要な技術や知識を得るための研修費用
④職務に直接必要な資格取得費用
⑤単身赴任の人が勤務地と自宅を往復する旅費
⑥職務に直接必要な弁護士,税理士等の資格取得費用
⑦次に掲げる支出(年間65万円まで)で勤務先が必要な支出と認めたもの
職務に関する書籍や定期刊行物,勤務場所で着用する衣服,交際費や接待費
(※資格取得費用の中でも⑥はこれまで認められていませんでした。)
控除される金額の限度額は以下の通りです。
給与収入1,500万円以下の場合
→その年中の給与所得控除額×1/2
給与収入1,500万円超の場合
→125万円
これまでこの制度はほとんど適用されていませんでしたが,今回の改正により,職務に関する書籍代やスーツ代,交際費などが認められることになりましたので,今後は大幅に適用者が増えると見込まれています。
但し,上記⑥と⑦は勤務先が必要と認めた支出に限定され,勤務先の証明書が必要ですので,常識を逸脱した金額の場合は否認される可能性はあります。
高級スーツや高級料亭などが認められるか否か,そのうち事例として出てくると思いますので,その際はまたお知らせ致します。
「相続税額の取得費加算特例」廃止の可能性
相続により取得した土地を譲渡した場合に適用がある、いわゆる「相続税額の取得費加算」特例が、将来的に廃止されるかも知れません。
以下、わかり易くご説明します。
まず、土地を譲渡しますと、個人の場合は所得税と住民税が課税されます。
課税の対象となる金額は、その譲渡で得た収入金額から、その土地を購入した金額及び譲渡に要した費用等を控除した金額です。
算式にしますと次のようになります。
(算式)譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)=課税の対象となる金額
そして、この課税の対象となる金額に対し、所得税15%と住民税5%が課税されます(5年超保有していた場合)。
ところで、現行の税法では、相続により取得した土地を、相続税の申告期限の翌日から3年以内に譲渡した場合には特例が設けられています。
どういった特例かと言いますと、上記の課税の対象となる金額から、相続した土地に係る相続税を控除することができるという特例です。
算式にしますと次のようになります。
(算式)譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用+相続した土地に係る相続税)=課税の対象となる金額
しかも、「相続した土地に係る相続税」ですから、売った土地に係る相続税はもちろんのこと、まだ売ってない土地に係る相続税も控除できてしまいます。
ですが、この特例が将来的に廃止されることになりそうです。
会計検査院が財務省に見直しを迫っているからです。
平成25年の税制改正大綱には含まれませんでしたが、会計検査院が指摘していることで、近い将来、廃止されることになりそうです。
「復興」が目的ではない住民税の「復興増税」
一昨年12月に国会で成立したいわゆる「地方財確法」に基づいて、平成26年度から平成35年度までの10年間、個人住民税の均等割税額が1,000円増税となります。
「復興増税」と言われていますので、多くの国民は「被災地の復興のための増税」であると理解していると思いますが、これは大きな間違いです。
そもそも住民税とは、あくまでも各自治体が徴収する地方税です。
よって、各自治体が「復興増税」により集めた財源で、被災地に対し金銭や物資を寄付するのであれば別ですが、ほとんどの自治体はそうしないでしょうから、「復興増税」により集めた財源が被災地の復興に役立つことはまずありません。
もともと地方財確法の目的は、「被災地の復興のための増税」ではなく「防災のための財源を確保するため」です。
法律の正式名称も「東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律」です。
「復興に関し」という文言を使用し、わざわざ誤解を招くようにしている、とは考えたくありませんが・・・。
いずれにしても、折角集めた財源ですから、しっかりと地域の防災に役立てて欲しいものです。
個人増税・法人減税の流れ
明けましておめでとうございます。
今年は、セミナーを積極的に開催する、経営者塾を開催する、所内マニュアルの精度をあげる、
WEBや出版物で情報発信を積極的に行う、などをテーマに取り組んでいきたいと思っています。
皆様、どうぞ宜しくお願い致します
さて、通常の年であれば年末に発表される税制改正大綱ですが、
今回は年末に衆議院選挙があったことから、1月24をめどに大綱を策定し、例年通り4月に税制改正となるようです。
政権は変わりましたが全体的な増税傾向は変わらないと思われ、特に個人の増税傾向が顕著です。
子ども手当導入の替わりに16歳未満の扶養控除は、平成23年分所得税から(住民税は平成24年分から)廃止されました。
ちなみに現在では子ども手当は児童手当に変更され、受給には所得制限が設けられています。
震災による復興増税ですが、所得税は平成25年から25年間、通常の所得税の2.1%増しです。
住民税は平成26年6月から10年間、1人1,000円増しです。
法人税は平成24年4月から3年間、通常の法人税の10%増しですが、そもそも通常の法人税率が引き下げられていますので、復興増税を加味しても実質減税となります。
これらの個人増税に加え、平成25年税制改正では所得税の最高税率を平成27年1月から現行の40%を45%に引き上げようという議論になっています。
これが実現しますと、住民税10%との合計で最高税率は55%となります。
相続税についても現行の基礎控除(5,000万円+1,000万円×法定相続人)が、3,000万円+600万円×法定相続人の数に縮小されそうです。
また、税率も現行の最高税率50%を55%に引き上げようと議論されています。
このように、我が国の税制は個人増税・法人減税という流れになっています。
商売をする者にとって税金はコストです。
商売をしなくとも相続税は見えざる借金です。よってこれらは安いに越したことはありません。
現在、個人事業主として商売している方は法人化した方が税金が安くなるかも知れません。
また、不動産を所有している個人資産家の方も、法人化した方が相続税が安くなるかも知れません。
法人化の判断は税金だけではありませんが、一度、検討してみることをお勧め致します。
経営革新等支援機関に認定されました。
この度,北村税理士事務所は,平成24年12月21日付で経済産業大臣より
「経営革新等支援機関」に認定されました。
この認定制度は,税務,金融及び企業の財務に関する専門的な知識や実務経験が一定レベル以上の個人,法人,中小企業支援機関者を,国が経営革新等支援機関として認定することにより,中小企業に対して専門性の高い支援を行うための体制を整備するもので,本年8月30日に施行された「中小企業経営力強化支援法」により創設されました。
この認定を機に,これまで以上に,例えば次のような経営に関する悩みを抱えている方のご相談を積極的に受けていきたいと考えています。
①自社の経営を「見える化」したい。
企業に密着した,きめ細やかな経営相談から,財務状況,財務分析等に関する調査・分析を行います。
②事業計画を作成したい。
事業計画の策定,実行支援,進捗状況の管理等を行います。
③専門的課題を解決したい。
海外進出を考えている,知財管理が不安等といった場合には,最適な専門家を派遣し,ノンストップサービスを提供します。
④金融機関と良好な関係を構築したい。
決算書等の計算書類の信頼性を向上させ,資金調達力の強化に繋げます。
また,経営革新等支援機関である弊事務所の支援を受け,事業計画の実行と進捗の報告を行うことを前提に,信用保証協会の保証料が0.2%減額されます(経営力強化保証制度)。