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純金積立で取得した金地金の譲渡
毎月一定額分の金地金を購入する純金積立が流行っているようですが、この金地金を譲渡したときに譲渡益があれば当然に課税されます。
譲渡益は譲渡収入-(取得価額+譲渡費用)で計算されますが、このとき、その譲渡した資産を何年間保有していたかで所得金額は変わります。
その譲渡した資産を5年超保有していた場合を長期といい、
その計算式は、(譲渡益-特別控除50万円)×1/2 となります。
また、5年以下保有していた場合を短期といい、
その計算式は、譲渡益-特別控除50万円 となります。
(注意:特別控除50万円は長期と短期を合計して50万円が限度です。)
ところで、純金積立を初めて5年目以降にその一部を譲渡した場合、保有期間が5年超の部分と5年以下の部分が混在し、譲渡した金地金の保有期間が何年であるのか判明しないことがあります。
このような場合は、譲渡する金地金の取得価額を所有する金地金の平均購入価額とする総平均法で、所有期間は先に取得したものから順次譲渡したものとする先入先出法によることで差し支えありません(東京国税局文書回答平成18年10月23日参照)。
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区分所有マンションの管理費と修繕積立金の損金性
法人が区分所有する賃貸マンションの管理費や修繕積立金について、各管理組合へ支出した事業年度に全額損金算入が認められるか否かが争われた裁判で、福岡高裁は、実際に費消した部分のみ損金算入できるとして、全額損金算入できると主張した納税者の訴えを退けました(平成22年5月27日判決)。
マンションの管理組合は、毎事業年度の初めにその年度の予算を決めますが、このとき、一般的には過度な余剰金は発生しないように予算を決定します。
所有者から徴収した管理費が、おおよそその年度において支出されていれば問題ありませんが、余剰金が多すぎると、支出した管理費の損金性が問題になります。
今回の福岡高裁判決では、実に、支出した管理費の70%以上が余剰金として管理組合に滞留しており、課税当局も裁判所もそのことを問題視し、余剰金部分については、未だ債務は確定していないと認定しました。
また、修繕積立金についても、通常は長期修繕計画等を策定し、それに基づき徴収すべきところ、今回の事件では長期修繕計画がなく積立金の算定根拠が全く不明であり、更に、管理費との区分もされないで積立金が管理運営されており、とても債務が確定しているとは言えないと認定しました。
要するに、管理費及び修繕積立金というのは名目であり、意図的に法人から管理組合へ資金を移動することにより蓄財を図ったと認定されたわけです。
今回の事件は、20棟余りも所有する法人のケースでちょっと極端ですから、この判決が及ぼす射程範囲もおのずと限られると思いますが、マンションの管理費の損金性については考えさせられる判決です。
ちなみにこの判決は最高裁に上告されており現在係属中です。
最高裁がどのような判断を下すのか、注目されます。
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第二会社方式での第二次納税義務
赤字が続く会社の中には、組織再編を通じて難局を打開しようと検討する会社も多いと思いますが、昨今、注目を浴びている第二会社方式では第二次納税義務に注意したいところです。
第二会社方式の概略は以下の通りです。
赤字会社が様々な事業を営んでいる場合において、その中の優良事業のみを抽出して本体から切り離し別会社化します。そして、本体に残った赤字部門を清算し、今後は別会社化した優良事業のみで事業を行っていく、これが第二会社方式です。
このとき注意したいのが、赤字部門のみとなった本体を清算する場合、金融機関や社長などから債務免除を受けた金額が欠損金を上回るケースです。
債務免除を受けた場合には債務免除益という収益を認識するのですが、これが繰越欠損金よりも少なければ課税されずに済みますが、繰越欠損金よりも多い場合にはその多い金額について法人税等が課税されます。
そして、通常は、清算してゆく会社ですから課税されたとしても納税する資金がありません。
そうすると、「資金がないから納税できない」では税務署は許してくれず、第二次納税義務といって優良部門を切り離した別会社に納税義務が移ります。
結局、税金はどこまでもついてきます。
上記の例に限らず、第二次納税義務まで含めたタックスプランニングは非常に重要です。
短期間での高額役員退職金は課税強化へ
我が国では、退職金は給与の後払い的性格を考慮し、担税力の観点から課税軽減措置が取られています。
具体的には、退職金から勤務年数に応じた「退職所得控除額」を控除し、更にそれを1/2にしてから税率を乗じて所得税を計算します。
ところが、天下りにより財団法人等の役員に就いた人や、外資系企業の役員等については、極めて短期間で役員を退職して退職金を受給するケースが散見されます。
民主党の税制改正プロジェクトチームではこれを問題視し、短期間で役員退職金を受給したケースについては1/2課税の軽減措置を適用しない方向で検討がなされています。
また、政府税制調査会の全体会合においても、同様の指摘がなされています。
「短期間」の定義については、退職所得と同様に1/2課税が採用されている短期譲渡所得を参考にし、
「5年以下」で調整が図られているようです。
更正の請求期間が5年になるかも知れません
いったん提出した申告書に間違いがあることが判明した場合、
追加で納税する必要がある場合の申告を修正申告といいます。
反対に、払い過ぎていた税金の還付を求めることを 「更正の請求」 といいます。
修正申告は何年後でも提出することができますが、
更正の請求は、もともとの申告に係る法定申告期限から1年以内と定められています。
一方、国は、納税者が提出してきた申告書に間違いがあることを発見した場合には、
「更正」処分をすることができ、この更正することができる期間は増額更正の場合には法定申告期限から3年以内(法人税は5年以内)、減額更正の場合には同5年以内となっています。
ここで気を付けたいことは、納税者が税金の還付を請求する権利は1年しかありませんが、国は5年以内であれば還付することができるという点です。
では、納税者が、法定申告期限から1年を超えて税金を払い過ぎていたことを発見した場合にはどうすればいいかといいますと、「嘆願書」というものを提出し、還付の請求をします。
但し、これは法律上の権利ではありませんので、嘆願書を提出したからといって税務署が必ずしも還付してくれるとは限りません。
現在の国税通則法では上記のような法律構成になっています。
が、これが変更になるかも知れません。
政府税制調査会に設置された納税環境整備プロジェクトチームの検討によれば、納税者が 「更正の請求」 をすることができる期間を、「法定申告期限から5年以内」 に変更することを予定しているようです。
これが実現すれば、国が増額更正することができる期間と、納税者が更正の請求をすることができる期間が同じになり、国と納税者とのバランスが保たれることになります。
実現してほしい改正の一つです。