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災害に伴う税務
この度の「東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)」につきまして、特に、被災地の方々におかれましては、
大変な状況にありますこと、お見舞い申し上げます。
私にできることは非常に少ないですが、以下、参考になれば幸いです。
所得税及び贈与税について、以下の地域の方については確定申告期限の延長措置が取られています。
青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県
これ以外の地域の方も災害により期限内に申告できない方は申請により延長が認められます。
詳しくは以下を参照して下さい。
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/index.htm
被災者への義援金の取扱いについては法人税基本通達9-4-6、
被災した取引先への売掛債権の免除については法人税基本通達9-4-6の2、
被災した取引先への低利又は無利息融資については法人税基本通達9-4-6の3、
自社製品を被災者に提供する場合の取扱いについては法人税基本通達9-4-6の4、
を参照してください。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_04_04.htm
ビル賃借時に支払った保証金の償却部分の仕入税額控除について
テナントビルを賃借する際に支払う保証金のうち、退却時に償却される(返金されない)部分については、法人税法上は繰延資産として取り扱われます。
すなわち、契約期間が5年以下の場合は契約期間で、契約期間が5年以上である場合には5年で月数按分して損金に算入することになります(法基通8-1-5(1))。
では消費税法上はどのように取り扱われるのかといいますと、償却される部分については賃貸借契約を締結した時点で仕入税額控除をすることになります。
これは、契約した時点で、消費税法上の「資産の譲渡等」があったと認識されるためです。
逆に、保証金を受け取る賃貸人側では、賃貸借契約を締結した時点で課税売上が計上されることになります。
支払った場合の税務処理のタイミングが、法人税と消費税で多少異なりますので注意が必要です。
租税法律主義
武富士事件で納税者が勝訴し、還付加算金を含め約2,000億円もの税金が還付される。
民主党は財源不足の中で、この穴をどのように埋めるのだろう。
ところで、この最高裁判決では裁判長の補足意見が述べられている。
補足意見では、長男が贈与を受けた翌年の税制改正で法改正をしておきながら、それを遡及して前年の贈与について適用することは許されないと指摘している。
「厳格な法条の解釈が求められる以上、解釈論にはおのずから限界があり、法解釈によっては不当な結論が不可避であるならば、立法によって解決を図るのが筋であ」ると。
我が国の憲法は租税法律主義を謳っている。
よって、遡及して課税することは法的安定性と予測可能性が保たれなくなり許されない行為である。
武富士事件はそのことを再認識するように広く課税当局と国民に訴えている。
経営コンサルタントは所得税を源泉徴収すべきか?
法人が個人に報酬を支払う場合に、所得税を源泉徴収すべきか否か迷うことがあります。
基本的に所得税の源泉徴収は限定列挙ですので、所得税法第204条以下の条文に該当した場合のみ
源泉徴収が必要で、該当しなければ源泉徴収の必要はありません。
しかし、限定列挙されていなくても源泉徴収が必要な場合があるので要注意です。
例えば、経営コンサルタント。
法律上は経営コンサルタントという言葉は使われておらず、企業診断員という言葉が使われているのですが、
この企業診断員の範囲に経営コンサルタントが含まれます。
具体的には、所得税基本通達204-15において、以下のように定義されています。
「(略)企業診断員には、(略)登録された中小企業診断士だけでなく、直接企業の求めに応じ、その企業の
状況について調査及び診断を行い、又は企業経営の改善及び向上のための指導を行う者、例えば、経営士、
経営コンサルタント、労務管理士等と称するような者も含まれる。」
経営コンサルタントに対する報酬は、源泉徴収が必要です。
準確定申告の留意点 配偶者控除や扶養控除
相続が発生した場合に、その亡くなった方(以後「被相続人」という。)に給与以外の収入がある場合
には、相続人はその被相続人に関する確定申告をしなければなりません。
この被相続人に関する確定申告を「準確定申告」といい、その提出期限は、相続が発生したときから
(正確には相続があったと知った日から)4か月以内です。
このとき、被相続人が扶養していた親族がいる場合には、当然、被相続人の準確定申告において
扶養控除や配偶者控除の適用がありますが、その判定は死亡の時の現況により行います。
そして、ここで留意を要するのは、扶養控除や配偶者控除の適用を受けるためには、これらの者の
合計所得金額が38万円以下である必要があるのですが、この合計所得金額は、その年1月1日から
12月31日までの見積もり合計所得金額であるという点です。
決して1月1日から被相続人が死亡した日までではありません。
間違いやすいところですので注意が必要です。