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新型コロナウイルス感染症対策情報その3

2020-05-29(金) 16:53:34

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<無担保・延滞税無しの納税猶予>

令和2年2月1日から令和3年1月31日に納期限が到来する国税について,新型コロナの影響により令和2年2月以降の任意の期間(1か月以上)において事業収入が前年同期と比較して概ね20%以上減少しており,国税を一時に納付することができない場合には,所轄の税務署に申請することにより,納期限から1年間,納税の猶予(特例猶予)が認められます。

特例猶予が認められると,猶予期間中の延滞税は全額免除されます。また,申請に当たり担保は不要です。

地方税についても概ね同様です。

 

<法人税の繰戻還付>

青色欠損金の繰戻し還付制度とは,青色申告法人で欠損金額が生じた事業年度がある場合において,その事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度に欠損金額を繰り戻して法人税の還付を受けられる制度です。

この制度は,これまで中小企業者等(資本金の額が1億円以下の法人など)については利用可能でしたが,資本金の額が1億円超10億円以下の法人も利用可能となりました。

令和2年2月1日から令和4年1月31日までの間に終了する事業年度に生じた欠損金額について適用されます。

なお,新型コロナ税特法により本制度の対象となる法人が,令和2年7月1日前に確定申告書を提出している場合の請求期限は,令和2年7月31日となります。

 

<住宅ローン控除特例の要件の弾力化>

新型コロナの影響により控除対象となる住宅の取得後その住宅への入居が期限(令和2年12月31日)までにできなかった場合であっても,次の要件を満たす場合にはその適用を受けることができます。

・一定の期日(新築は令和2年9月末,中古は令和2年11月末)までに住宅取得に係る契約を締結していること。

・令和3年12月31日までに入居していること。

 

中古住宅を取得し,かつ,増改築等工事を行った場合の住宅ローン控除については,新型コロナの影響により期限(取得日から6か月以内)までに入居できなかった場合であっても,次の要件を満たす場合にはその適用を受けることができます。

・一定の期日(住宅取得して5か月を経過する日又は新型コロナ税特法施行日(令和2年4月30日)から2か月を経過する日のいずれか遅い日)までに増改築等の契約を締結していること

・増改築等の終了後6か月以内に入居していること

・令和3年12月31日までに入居していること。

 

<消費税の課税選択の変更に係る特例>

新型コロナの影響により令和2年2月1日から令和3年1月31日までの任意の1か月以上の期間の事業収入が著しく減少(前年同期比で概ね50%以上)している事業者については,所轄税務署長の承認により,特定課税期間以後の課税期間について,課税期間の開始後であっても,課税事業者を選択する(又はやめる)ことができます。

特定課税期間とは,新型コロナの影響により事業収入の著しい減少があった期間内の日を含む課税期間をいいます。

また,本特例により課税事業者を選択する(又はやめる)場合,2年間の継続適用要件は適用されません(本特例により課税事業者を選択した課税期間の翌課税期間において課税事業者の選択をやめることも可能です。)

上記と同様に,新型コロナの影響により,簡易課税制度の適用を受ける(又はやめる)必要が生じた場合には,所轄税務署長の承認により,その被害を受けた課税期間からその適用を受ける(又はやめる)ことができます。

 

<固定資産税等の軽減措置>

中小企業者等が所有する償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税について,令和2年2月から同年10月までの任意の3か月間の売上高が,前年の同期間に比し,30%以上50%未満減少している者についてはその1/2が,50%以上減少している者についてはその全額が,令和3年度分に限り減免されます。

この軽減措置は,令和3年1月31日までに,認定経営革新等支援機関等の認定を受けて各市町村に申告した者に適用されます。

 

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新型コロナウイルス感染症対策情報その2

2020-05-07(木) 09:09:04

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<持続化給付金(国)>

  • 新型コロナの影響により売上が前年同月比で50%以上減少している事業者に対し,法人は200万円,個人事業者は100万円を上限として給付金が支給されます。

業種の制限はなく給付金の計算方法は次の通りです。

「前年総売上-前年同月比50%減の月の売上×12か月」

 

(例)前年売上400万円,前年4月売上50万円,今年4月売上20万円の場合は給付金160万円となります。

400万円-20万円×12か月=160万円<200万円

 

売上50%減の月は2020年1月~12月のうち各自が任意に選択することができます。法人は資本金10億円以上を除き,NPO法人や社会福祉法人等を含みます。

申請書類は法人の場合,①法人番号,②2019年の確定申告書類控え,③減収月の売上がわかる帳簿等で,個人の場合は,①本人確認書類,②③は法人と同様です。

申請はWEB上からの本人申請が原則です。

 

 

<感染拡大防止協力金(東京都)>

  • 新型コロナ感染拡大防止のため東京都の要請に応じて施設の使用停止に全面的に協力した中小事業者に対し,50万円(2店舗以上有する事業者は100万円)の協力金が支給されます。

支給対象は東京都が休止要請した施設を運営する事業者です(東京都総務局HP参照)。飲食店の場合は夜営業していた店が朝5時~夜8時までの営業に切り替えると支給対象となります。

休止要請をされていない業種の店舗が自主的に休業しても協力金は支給されません。

 

 

<国の税金について>

  • 個人の所得税等の確定申告期限は4/16まで延期されましたが,4/17以降も受け付けており,実質的に当分の間は期限無しとなりました。
  • 法人については一律に期限を延長するという措置は講じられておりませんが,個別に申請すれば延長が可能です。この場合,申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と付記するだけで足ります。
  • 相続税についても同様に個別に申請すれば延長が可能で,申告書の余白にその旨付記するだけで足ります。
  • 新型コロナの影響で売上が前年同月比20%以上減少している事業者(個人法人とも)については,1年間,国税の納税を猶予することができます。担保は不要で延滞税も課税されません。
  • 中小企業等がテレワーク等のための設備の取得等をした場合には,中小企業経営強化税制の適用を受けることができるようになります。具体的には,設備の即時償却又は設備投資額の7%(又は10%)の税額控除をすることができます。
  • 新型コロナの影響で今年2/1~来年1/31までのうち売上が前年同月比50%以上減少した月がある場合には,課税期間開始後であっても消費税の課税事業者を選択する(又はやめる)ことができます。この場合,2年縛りもありません。
  • 今年2/1~来年1/31までに開催予定であった文化芸術スポーツイベント等のチケットを払い戻さなかった場合には,寄付金として税額控除等を受けられる予定です。但し,チケット代は年間20万円が上限で,不特定多数を対象としていないイベントやそもそも払い戻しを受けられないイベントは除きます。

 

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新型コロナウイルス感染症対策情報

2020-03-23(月) 09:07:12

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新型コロナウイルス感染症に対して国や政府系金融機関が講じている各種支援制度の概要をご紹介します。

 

<資金繰り支援>

1.無利子・無担保融資

日本政策金融公庫が新型コロナによる影響を受け業況が悪化した事業者(フリーランス含む)に対し,融資枠別枠の制度を創設しました。信用力や担保に依らず一律金利とし,融資後の3年間まで0.9%の金利引き下げが実施されます。融資対象は新型コロナの影響を受けて最近1ヶ月の売上高が前年又は前々年の同期と比較して5%以上減少した方など。

貸付期間は設備資金20年以内,運転資金15年以内(据置5年以内)で融資限度額は中小企業3憶円,小規模事業者及び個人は6千万円です。

 

2.特別利子補給制度

経済産業省は上記1の新型コロナ特別貸付により貸付を行った中小企業者等に対し,特に影響の大きい個人事業主や売上高が急減した事業者などに対して利子補給制度を実施する予定です。具体的な手続きについては,詳細が固まり次第,中小企業庁HP等で公表されます。

 

<助成金等>

1.雇用調整助成金

雇用調整助成金とは経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が労働者に対して一時的に休業,教育訓練等を行い,労働者の雇用維持を図った場合に,休業手当,賃金等の一部を助成するものですが,新型コロナに対応し,次のような特例措置が設けられています。

①休業等計画届の事後提出(令和2年1月24日~令和2年5月31日まで)。

②生産指標要件の緩和(売上高等が3か月10%以上低下 →1か月10%以上低下)。

③雇用指標(最近3か月の平均値)が対前年比で増加している場合も対象となる。

④事業所設置後1年未満の事業主も助成の対象となる。

 

2.新型コロナによる小学校休業等対応助成金

新型コロナ対応として小学校等が臨時休業した場合等に,その小学校等に通う子どもの保護者である労働者(非正規含む)の休職に伴う所得の減少に対応するため,労働基準法上の年次有給休暇とは別に有給の休暇を取得させた企業に対する助成金が創設されます。

対象事業主は次の①又は②の子どもの世話を行うことが必要となった労働者に対し労働基準法上の年次有給休暇とは別に有給(賃金全額支給)の休暇を取得させた事業主です。

①新型コロナ対応として臨時休業等をした小学校等(※)に通う子ども。※小学校,義務教育学校(小学校課程のみ),特別支援学校(全ての部),放課後児童クラブ,幼稚園,保育所,認定こども園等

②新型コロナに感染した又は風邪症状など新型コロナに感染したおそれのある小学校等に通う子ども(※)

※新型コロナウイルスに感染した者,発熱等の風邪症状が見られる者,新型コロナウイルスに感染した者の濃厚接触者

支給額は休暇中に支払った賃金相当額×10/10です。ただし,日額上限は8,330円で大企業,中小企業ともに同額です。

 

3.厚生年金保険料等の猶予制度

厚生年金保険料等を一時に納付することにより,事業の継続等を困難にするおそれがあるなどの一定の要件に該当するときは,納付すべき保険料等の納期限から6か月以内に管轄の年金事務所へ申請することにより,換価の猶予が認められます。

 

4.時間外労働等改善助成金の特例

新型コロナ対策として新たにテレワークの導入や特別休暇の規定を整備した中小企業事業主を支援するため,特例的なコース(テレワークコース)が設けられました。

次のような取組を行った場合には該当費用の1/2が補助されます(上限100万円)。

・テレワーク用通信機器(※)の導入・運用

・就業規則・労使協定等の作成・変更

・労務管理担当者に対する研修

・労働者に対する研修,周知・啓発

・外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング等

※パソコン,タブレット,スマートフォンの購入費用は対象となりません。

 

上記以外にも,日本政策金融公庫が通常実施している融資の金利を引き下げたり,中小企業庁や信用保証協会が保証枠を拡大したり,経済産業省がセーフティネット貸付の要件を緩和したり,商工中金や日本政策投資銀行が資金繰り支援を検討したりしています。

何とかこの危機を乗り切りましょう。

 

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居住者か非居住者か

2020-03-14(土) 14:03:59

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国内居住か国外居住かで所得税が課税される所得の範囲は異なります。

原則として,日本人であっても国外に居住し国外で得た所得については日本の所得税は課税されませんが,複数の国を行き来している人の場合には判断が難しい場合もあります。

 

まず,所得税法では個人の納税者を居住者と非居住者に区分し,更に,居住者を永住者と非永住者に区分しています。

 

それぞれの定義は次のとおりです。

  • 居住者とは,国内に「住所」を有し,又は,現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいう。
  • 居住者のうち非永住者とは,日本国籍を有しておらず,かつ,過去10年以内において国内に住所又は居所を有していた期間が5年以下である個人をいう。
  • 非永住者以外の居住者を永住者という。
  • 非居住者とは,居住者以外の個人をいう。

 

よって,日本国籍を有している人は,非永住者以外の居住者(永住者)か非居住者のどちらかに該当することになります。

 

 

次に,それぞれの課税所得の範囲は次のとおりです。

  • 永 住 者…すべての所得
  • 非永住者…国外源泉所得以外の所得と国外源泉所得のうち国内において支払われ,又は国内に送金されたもの
  • 非居住者…国内源泉所得

 

永住者は全世界で得たすべての所得に対して日本の所得税が課税されますが,非居住者の場合は日本国内で生じた所得に対してだけ日本の所得税が課税されます。

 

よって,生活の本拠を国外に移して非居住者に該当するようになれば,所得の種類等によっては日本での課税所得がかなり減少する場合もありますが,何をもって生活の本拠が国外であると判断するかは非常に難しいところです。

 

生活の本拠とはすなわち住所のことですが(民法22),所得税基本通達2-1では「法に規定する住所とは各人の生活の本拠をいい,生活の本拠であるかどうかは客観的事実によって判定する」としています。

 

客観的事実とは,住居,職業,資産の所在,生計を一にする配偶者その他親族の所在等の客観的事実を総合的に勘案して判断がなされます。

 

複数の国を行き来している人の場合はそれぞれの国での滞在日数も判断材料の一つとされますが,本人の主観的な居住意思は住所の判定に無関係であるとはいえないものの,外部から認識し難い場合が多いため,補充的な考慮要素にとどまるものと解されています。

 

よって,自分の意思だけで生活の本拠が国外であると決めることはできません。

 

また,有名な武富士事件(最高裁H23.2.18判決,香港で株式贈与を受けることで日本の贈与税を回避しようとして課税当局から否認された事件。当時,国外での贈与には日本の贈与税は課税されなかった)では,生活の本拠を香港に移し,香港で株式贈与を受けることで日本の贈与税課税を回避するという目的の下に国内での滞在日数が多くなりすぎないよう調整していたとしても,客観的な事実関係等から香港居宅に生活の本拠たる実体があることを否定する理由にはならないとして,租税回避の意図があったとしても,住所の判定は客観的事実に基づいて判断すべきであると判示されました。

 

このように,居住者であるか非居住者であるか,すなわち生活の本拠である住所が国内であるか国外であるかは客観的事実によって判断されるわけですが,判定基準の要素には優劣があり,過去の判決においては,職業,滞在日数及び住居を重視して判断される傾向にあるようです。

 

サラリーマンで海外赴任となった人であれば居住者か非居住者かの判断に迷うことは少ないと思いますが,会社経営者で日本と国外を行き来している人の場合にはなかなか判断が難しいケースがあります。税額への影響が大きいだけに慎重に判断したいところです。

 

(参考)月刊税理2020年01月号193頁

 

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生命保険金と生命保険契約に関する権利について

2020-03-04(水) 11:44:12

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<生命保険金の課税関係>

被相続人の死亡により取得した生命保険金が相続税の課税対象となることは広く知られておりますが,保険料負担者(一般的には契約者)の違いにより,課税関係は次のとおりとなります(父が亡くなった場合)。

被保険者 契約者 保険金受取人 税金の種類
1 相続税
2 贈与税
3 所得税

 

1は,父が自分を被保険者として生命保険に加入し,子が生命保険金を受け取ったケースで,父から子への財産の移転としてみなして相続税の課税対象となります。

2は,母が父を被保険者として生命保険に加入し,子が生命保険金を受け取ったケースで,母から子への財産の移転とみなして贈与税の課税対象となります。

3は,子が父を被保険者として生命保険に加入し,自分(子)が生命保険金を受け取ったケースで,自らの所得として所得税の課税対象となります。

 

このうち1のケースについては,相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人を除く)が受け取った生命保険金のうち「500万円×法定相続人の数※」までの金額については相続税がかからないこととされています(※養子がある場合は一定の制限有り)。

 

相続が発生し実際に生命保険金を受け取っている場合には相続税の申告漏れは余り考えられませんが,次の「生命保険契約に関する権利」については,しばしば申告漏れとなることがあるので注意が必要です。

 

<生命保険契約に関する権利について>

生命保険契約に関する権利とは,相続が発生した場合において,まだ保険事故が発生していない生命保険契約(いわゆる掛捨ての保険契約を除く)で,その保険料の全部又は一部を被相続人が負担しており,かつ,被相続人以外の人がその契約者である場合の権利のことをいいます。

例えば次のような場合です。

被保険者 契約者 保険金受取人

 

上記のような,父が契約者(一般的には保険料負担者)で,母が被保険者である生命保険契約については,父が亡くなった段階では生命保険金は支払われず,父亡き後に契約者変更で母が契約者となり,その後,母が亡くなった段階で生命保険金が子に支払われます。

父が亡くなった段階では生命保険金は支払われませんが,契約を引き継いだ母がその後解約すれば解約返戻金を受け取ることができますので,父が亡くなった段階において,この解約返戻金相当額が「生命保険契約に関する権利」として相続税の課税対象になります。

 

しかし,死亡による契約者変更という課税事由を税務署が把握するのは容易ではなかったことから,これまでは生命保険契約に関する権利の相続税の申告漏れは頻繁に見受けられました。

 

このため,平成30年1月1日以後に生命保険契約等に関して死亡による契約者変更が生じた場合には,その保険会社等は税務署に対し,翌年1月31日までに「保険契約者等の異動に関する調書」を提出しなければならないこととなりました。ちなみに,平成30年中に死亡により生命保険契約等の契約者変更が生じ,期日までに提出された調書はおよそ10万枚にのぼるそうです。

 

生命保険契約に関する権利の評価額は,相続開始の時においてその契約を解約するとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額によって評価します。

なお,解約返戻金以外に支払われることとなる前納保険料や剰余金の分配額等がある場合にはこれらの金額を加算し,解約返戻金の額につき源泉徴収されるべき所得税の額がある場合には,その金額を差し引いた金額により評価します。

 

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