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令和8年度税制改正大綱

2026-02-09(月) 09:50:03

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昨年12月19日,自民党と日本維新の会は「令和8年度税制改正大綱」を決定しました。

そのうち,個人所得税や中小企業の法人税実務に影響しそうな箇所をピックアップしてご紹介します。

 

<個人所得課税>

・基礎控除について,合計所得金額が2,350万円以下である個人の控除額を4万円引き上げる。

・基礎控除の特例として,令和8年分及び令和9年分について合計所得金額489万円以下である場合の基礎控除の加算額を42万円(合計所得金額489万円超655万円以下は5万円)とする。

・給与所得控除について,65万円の最低保障額を69万円に引き上げる。

・給与所得控除の最低保証額の特例として,令和8年及び令和9年の給与所得控除の最低保証額を5万円引き上げる特例を創設する。

※上記基礎控除及び給与所得控除の改正により,時限的ではありますが,いわゆる年収の壁は178万円まで引き上げられます(令和6年までは103万円)。

 ・同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件を62万円以下(現行58万円以下)に引き上げる。

・自家用車で通勤する者が受ける通勤手当について,通勤距離片道65km以上の者の1月当たりの非課税限度額を引き上げる。

・使用者からの食事の支給により受ける経済的利益について,非課税とされる使用者の負担額の上限を月額7,500円(現行3,500円)に引き上げる。

・使用者が深夜勤務に伴う夜食の現物支給に代えて支給する金銭について,非課税とされる1回の支給額を650円以下(現行300円以下)に引き上げる。

 

<資産課税>

・直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置については,令和8年3月末で終了することとする。

被相続人等が課税時期前5年以内に対価を伴う取引により取得又は新築をした一定の貸付用不動産については,課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価する。上記の課税時期における通常の取引価額に相当する金額については,課税上の弊害がない限り,被相続人等が取得等をした貸付用不動産に係る取得価額を基に地価の変動等を考慮して計算した価額の100分の80に相当する金額によって評価することができることとする。令和9年1月1日以後に相続等により取得をする財産の評価に適用する。

 

<法人課税>

・特定生産性向上設備等投資促進税制を創設する。

青色申告法人が生産等設備を構成する一定の資産で35億円以上(中小企業者等は5億円以上)を取得した場合で経産大臣の確認を受けた場合には,即時償却又は取得価額の7%の税額控除との選択適用を認める。

・賃上げ促進税制について,全法人(大法人)向け措置を令和8年3月末で,中堅企業向け措置を令和9年3月末で廃止する。

中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について,取得価額要件を40万円未満(現行30万円未満)に引き上げる。

 

<消費税>

・いわゆる2割特例について,個人事業主に限り令和9年及び令和10年に含まれる各課税期間は消費税の納税額を3割とすることができる。

・免税事業者からの仕入れに係る経過措置(いわゆる8割控除)について,令和8年10月以後3年は5割控除だったところ,令和8年10月以後2年は7割控除,その後2年は5割控除,その後1年は3割控除とする。

 

<その他>

固定資産税について,家屋に係る免税点を30万円(現行20万円)に,償却資産に係る免税点を180万円(現行150万円)にそれぞれ引き上げる。

・復興特別所得税の税率を1%引き下げて1.1%とし,課税期間を10年延長して令和29年までとする。

防衛特別所得税を創設する。税率は1%とし,課税期間は令和9年以後「当分の間」とする。

 

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空室がある場合の貸家建付地の評価

2026-01-20(火) 15:42:50

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アパートや賃貸用マンション,貸ビル等の貸家の敷地の用に供されている宅地(これを「貸家建付地」といいます。)の価額は,次の算式により評価します。

 

自用地価額-自用地価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合

=自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

 

家屋の賃借人は,家屋に対する権利を有するほか,その敷地についても家屋の賃借権に基づいて家屋の利用の範囲内においてある程度の支配権を有していると認められ,一方で,賃貸人はその範囲内において利用についての受忍義務を負うこととされています。

 

そのため,賃貸人が賃借人の有する支配権を消滅させるためには立退料の支払いを要する場合もあり,また,賃借人がいる状態のまま譲渡する場合には,賃借人がいない状態で譲渡する場合よりも相対的に低い価額で取引価額が成立するものと考えられます。

 

そこで,貸家の敷地である貸家建付地の価額は,上記算式のとおり,その自用地価額から,賃借人の有する敷地に対する権利相当額を控除した価額によって評価することとされています。

 

そして,賃貸割合を乗ずることとされているのは,課税時期において現実に貸し付けられていない部分がある場合には,その貸し付けられていない部分に対応する敷地については賃借人の有する支配権を考慮する必要がないことから,貸家建付地としての減額を行う必要がないという考え方によるためです。

 

ここで,賃貸割合とは,その貸家に各独立部分(構造上区分された数個の部分の各部分をいいます。)がある場合に,その各独立部分の賃貸の状況に基づいて次の算式により計算した割合をいいます。

 

賃貸割合=Aのうち課税時期において賃貸されている各独立部分の床面積の合計/当該家屋の各独立部分の床面積の合計(A)

 

ところで,この賃貸割合の計算は課税時期における現況に基づいて行うのが原則ですが,一つの独立部分を賃借している賃借人の権利は,結果的に当該家屋の敷地全体に及ぶと考えられることから,例えば次のような事実関係から,課税時期においてたまたま一時的に空室であると認められる場合には,課税時期においても賃貸されていたものとして取扱って差し支えないことになっています。

1.各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されてきたものであること。

2.賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われていること。

3.空室の期間中,他の用途に供されていないこと。

4.賃貸されていない期間が,課税時期の前後の例えば1か月程度(※)であるなど一時的な期間であること。

5.課税時期後の賃貸が一時的なものではないこと

 

なお,課税時期において貸家の全室(全独立部分)が空室となっている場合は,借地借家法の保護対象となっている「借家に対して家屋の賃借人が有している権利=借家権」の目的となっている家屋(貸家)の敷地とはいえませんので,たとえその空室が一時的なものであっても,貸家建付地として評価することはできません。

 

これは,独立家屋である貸家(一戸建て等)が,課税時期おいてたまたま一時的に空き家となっている場合も同様です。独立家屋(一戸建て等)が空き家となっている場合は,借家権の目的となっている家屋に該当しないことから,土地に対する制約がないため,貸家建付地としての減価を考慮する必要がないという考え方によるためです。

 

(※)一時的な空室を賃貸されているものに含める取扱いは,賃借人の募集状況や保守・管理状況等の事実関係を含めて総合的に判断すべきものですが,実務的には空室期間が1年以上であっても貸家建付地評価が認められた事例は多数あります。

 

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宅地の評価について

2026-01-07(水) 18:14:45

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相続税及び贈与税を計算する場合における土地の価額は,原則として宅地,田,畑,山林,原野,牧場,池沼,鉱泉地,雑種地の別に評価します。

この場合の地目は登記簿上の地目ではなく,課税時期における土地の現況によります。

ただし,一体として利用されている一団の土地が2以上の地目からなる場合には,そのうちの主たる地目からなるものとして,その一団の土地ごとに評価します。

 

次に,宅地の価額ですが,1筆単位で評価するのではなく,利用の単位となっている1区画の宅地,すなわち1画地の宅地ごとに評価します。

利用の単位とは,例えば,自用地,貸地,貸家の敷地である貸家建付地をいいます。

利用の単位ですから必ずしも1筆の宅地とは限らず,2筆以上の宅地をまとめて利用している場合もあれば,1筆の宅地が2画地以上の宅地として利用されている場合もあります。

 

なお,相続,遺贈又は贈与により取得した宅地は,原則として取得者が取得した宅地ごとに評価しますが,宅地の分割が親族間等で行われた場合において,例えば,分割後の画地が宅地として通常の用途に供することができないなど,その分割が著しく不合理であると認められるときは,その分割前の画地を「1画地の宅地」として評価します。

 

その分割が著しく不合理であると認められる事例としては,無道路地,帯状土地又は著しく狭あいな画地を創出する場合や,分割後の画地では現在のみならず将来においても有効な土地利用が図れないと認められるような分割をした場合などが考えられます。

 

宅地の評価単位である1画地の判断基準の具体例は次のとおりです。

1.所有する宅地を自ら使用している場合には,居住の用か事業の用かにかかわらず,その全体を1画地の宅地として評価します。

2.所有する宅地の一部について借地権を設定させ,他の部分を自己が使用している場合には,それぞれの部分を1画地の宅地として評価します。一部を貸家の敷地,他の部分を自己が使用している場合も同様です。

3.所有する宅地の一部について借地権を設定させ,他の部分を貸家の敷地の用に供している場合には,それぞれの部分を1画地の宅地として評価します。

4.借地権の目的となっている宅地を評価する場合において,貸付先が複数であるときは,同一人に貸し付けている部分ごとに1画地の宅地として評価します。

5.貸家建付地を評価する場合において,貸家が数棟あるときには,原則として,各棟の敷地ごとに1画地の宅地として評価します。

6.2以上の者から隣接している土地を借りて,これを一体として利用している場合には,その借主の借地権の評価に当たっては,その全体を1画地の宅地として評価します。この場合,貸主側の貸宅地の評価に当たっては,各貸主の所有する部分ごとに区分して,それぞれを1画地の宅地として評価します。

7.共同ビルの敷地の用に供されている宅地は,その全体を1画地の宅地として評価します。

8.所有する宅地の一部を自らが使用し,他の部分を使用貸借により貸し付けている場合には,その全体を1画地の宅地として評価します。

9.自己の所有する宅地に隣接する宅地を使用貸借により借り受け,自己の所有する宅地と一体として利用している場合であっても,所有する土地のみを1画地の宅地として評価します。

なお,上記8及び9の場合において,使用貸借に係る使用借権の価額は零として取り扱い,使用貸借により貸し付けている宅地の価額は自用地価額で評価します。

 

宅地の評価単位の判断は意外にも難しく,過去の事例では,東京都心部であっても自宅,貸地,貸家建付地,貸駐車場及び私道と5つの画地に区分して評価するような場合もありますので,注意が必要です。

 

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延滞税について

2025-11-10(月) 10:59:55

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延滞税は,本税が法定納期限を経過しても納付されない事実が生じた場合に,行政上の制裁として課される附帯税の1種であり,期限内に納付した者との間の負担の公平の確保,滞納防止,滞納となった国税の早期納付を促すこと等を目的としています。

 

延滞税の課税要件は次のとおりです。

(1) 期限内申告書を提出した場合において,当該申告書の提出により納付すべき国税をその法定納期限までに完納しないとき。

(2) 期限後申告書若しくは修正申告書を提出し,又は更正・決定を受けた場合において,納付すべき国税があるとき。

(3) 納税の告知により納付すべき国税(加算税及び過怠税を除く)をその法定納期限後に納付するとき。

(4) 予定納税に係る所得税をその法定納期限までに完納しないとき。

(5) 源泉徴収等による国税をその法定納期限までに完納しないとき。

 

補足しますと,申告納税方式による国税は,法定申告期限までにする期限内申告によって納税義務を確定させ,これを本来の納期限である法定納期限までに納付することが義務づけられているところ,上記(1)は,期限内に申告書は提出したが,期限内に納税すべき税額を完納しない場合には,この未納額は納付遅滞となり延滞税が課税されます。

 

上記(2)は,期限内申告により納税義務が確定されないときは,納税者側からは期限後申告により,課税当局側からは決定により,それぞれ納税義務が確定されるのですが,法定申告期限と法定納期限は同一であることが原則となっているため,これらの手続きにより確定された納付額は納付遅滞となり延滞税が課税されます。

 

また,税務調査等を経て,期限内申告,期限後申告又は決定により確定された納付すべき税額に不足額があるときは,納税者側からは修正申告により,課税当局側からは更正によりその不足分の納付すべき税額が確定されるのですが,その不足分の納付すべき税額に対して延滞税が課税されます。

 

参考までに,更正とは提出された申告書を課税当局が職権で訂正する行政処分であり,決定とは無申告だった場合に課税当局が職権で納税額を確定させる行政処分をいいます。

 

延滞税の税率は,延滞税が課税される国税につき,原則として,その法定納期限の翌日から,その国税を完納する日までの期間の日数に応じ,その未納に係る本税の額に年14.6%の割合を乗じて計算した額です。

ただし,納期限までの期間又は納期限の翌日から起算して二月を経過する日までの期間については,その未納に係る本税の額に年7.3%の割合を乗じて計算した額に軽減されています。

 

なお,この延滞税の割合は,現下の低金利下の状況を踏まえ,租税特別措置法により軽減措置が講じられており,各年の延滞税特例基準割合が年7.3%に満たない場合には,その年中においては,年14.6%の割合にあっては当該延滞税特例基準割合に年7.3%を加算した割合とし,年7.3%の割合にあっては当該延滞税特例基準割合に年1%を加算した割合(当該加算した割合が年7.3%を超える場合には年7.3%の割合)となります。

 

上記の延滞税特例基準割合とは,各年の前々年の9月から前年の8月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合に,年1%の割合を加算した割合をいいます。

ちなみに令和7年におけるそれぞれの割合は,14.6%は8.7%に,7.3%は2.4%になります。

 

延滞税の計算期間ですが,原則として法定申告期限から1年間に限ります。

これは,法定申告期限から1年以上も経過した後に修正申告書の提出や更正があったような場合において,全期間について延滞税を課税することは納税者にとって酷であること,課税当局の都合で税務調査等の時期が異なるため公平性に欠けること,といった理由からです。ただし,偽りその他不正の行為により国税を免れていた場合には,延滞税の計算期間は1年間に限られず,全期間となります。

 

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従業員等に対して支給した技術習得費用等の取扱い

2025-09-26(金) 17:51:29

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法人の役員又は使用人が,当該法人から金銭以外の物又は権利その他経済的な利益(経済的利益)を受けた場合には,包括的所得概念の下,原則として当該経済的利益は当然に「所得」を構成することになり課税の対象となります。

 

しかしながら,当該経済的利益の測定(評価)は極めて困難であり,かつ,少額であることも多いため,全ての経済的利益に対して厳格に課税を行おうとすると,税務執行上,弊害が生じる可能性も否定できません。

その為,所得税基本通達(所基通)において,課税しない経済的利益がいくつか規定されています。

 

そのうちの一つである所基通36-29の2は,

「使用者が自己の業務遂行上の必要に基づき,役員又は使用人に当該役員又は使用人としての職務に直接必要な技術若しくは知識を習得させ,又は免許若しくは資格を取得させるための研修会,講習会等の出席費用又は大学等における聴講費用に充てるものとして支給する金品については,これらの費用として適正なものに限り,課税しなくて差し支えない。」

と規定しています。

 

これは,使用者がこうした費用を負担するのは,もともと使用者が使用人等にその職務遂行に必要な技術,知識等を習得させることを通じてその者の職務内容の質的向上を図るためのものであって,それによりその使用人等が知識,資格等を修得したとしても,それは,使用者等が使用人のためにその職務を遂行する過程においておのずから修得する技術,知識又はいわゆる社内研修により修得する技術,知識等と本質的に異ならないと考えられるためであり,支給する金品がその使途,金額等からみて適正なものである場合には,給与等として課税しなくて差し支えないという趣旨です。

 

一方,福利厚生の一環として使用者が使用人の自己啓発のため通信教育のメニューを提供し,使用人が受講した通信教育費用を負担するといった場合には,職務に直接必要なものでなければ給与として課税されます。

 

次に,使用者が使用人に対して学資に充てるための費用(学資金)を支給する場合がありますが,この学資金が通常の給与に加算して支給されるものである場合には非課税となりますが,本来支給すべき給与の額を減額した上で,それに相当する額を学資金として支給する場合には給与として課税されます。

 

ただし,学資金のうち,役員や役員と特別の関係がある者に対して支給されるもの,個人事業主の親族に対して支給されるものなどは除かれます。

 

なお,ここでいう学資金とは,一般に,学術又は技芸を習得するための資金として父兄その他の者から受けるもので,その目的に使用されるものをいい,金品として給付される場合だけでなく,金銭を貸与し,その後に一定の条件によりその返済を免除した場合の経済的利益も含むものとされています。

 

ところで,使用者が使用人に技術習得費用を支給する場合と似たような事案として,個人事業主本人が資格取得費用を支出した場合に,当該資格取得費用が必要経費に該当するか否かという問題があります。

 

前者では「職務に直接必要である」ことが主要な要件の一つでありますが,それは個人事業主の必要経費性においても同様であると考えられます。

 

例えば,整骨院を営む個人事業主が,柔道整復師養成の専門学校の授業料を必要経費に算入して確定申告したところ,当該授業料は既に営んでいる業務に直接必要とはいえないという理由で否認されました。

また,歯科医師が学位を取得するために大学院の博士課程に通った入学金や授業料は,業務に間接的に有効・有益であっても,主たる目的が新しい地位,職業の取得とされる場合には,必要経費とは認められないとされた事例もあります。

 

損金性又は必要経費性の要件である「職務に直接必要であること」とは,表現が抽象的であり判断が難しい場合もありますが,厳格に捉えた方が税務リスクを回避できるように思います。

 

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