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新型コロナウイルス感染症対策情報

2020-03-23(月) 09:07:12

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新型コロナウイルス感染症に対して国や政府系金融機関が講じている各種支援制度の概要をご紹介します。

 

<資金繰り支援>

1.無利子・無担保融資

日本政策金融公庫が新型コロナによる影響を受け業況が悪化した事業者(フリーランス含む)に対し,融資枠別枠の制度を創設しました。信用力や担保に依らず一律金利とし,融資後の3年間まで0.9%の金利引き下げが実施されます。融資対象は新型コロナの影響を受けて最近1ヶ月の売上高が前年又は前々年の同期と比較して5%以上減少した方など。

貸付期間は設備資金20年以内,運転資金15年以内(据置5年以内)で融資限度額は中小企業3憶円,小規模事業者及び個人は6千万円です。

 

2.特別利子補給制度

経済産業省は上記1の新型コロナ特別貸付により貸付を行った中小企業者等に対し,特に影響の大きい個人事業主や売上高が急減した事業者などに対して利子補給制度を実施する予定です。具体的な手続きについては,詳細が固まり次第,中小企業庁HP等で公表されます。

 

<助成金等>

1.雇用調整助成金

雇用調整助成金とは経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が労働者に対して一時的に休業,教育訓練等を行い,労働者の雇用維持を図った場合に,休業手当,賃金等の一部を助成するものですが,新型コロナに対応し,次のような特例措置が設けられています。

①休業等計画届の事後提出(令和2年1月24日~令和2年5月31日まで)。

②生産指標要件の緩和(売上高等が3か月10%以上低下 →1か月10%以上低下)。

③雇用指標(最近3か月の平均値)が対前年比で増加している場合も対象となる。

④事業所設置後1年未満の事業主も助成の対象となる。

 

2.新型コロナによる小学校休業等対応助成金

新型コロナ対応として小学校等が臨時休業した場合等に,その小学校等に通う子どもの保護者である労働者(非正規含む)の休職に伴う所得の減少に対応するため,労働基準法上の年次有給休暇とは別に有給の休暇を取得させた企業に対する助成金が創設されます。

対象事業主は次の①又は②の子どもの世話を行うことが必要となった労働者に対し労働基準法上の年次有給休暇とは別に有給(賃金全額支給)の休暇を取得させた事業主です。

①新型コロナ対応として臨時休業等をした小学校等(※)に通う子ども。※小学校,義務教育学校(小学校課程のみ),特別支援学校(全ての部),放課後児童クラブ,幼稚園,保育所,認定こども園等

②新型コロナに感染した又は風邪症状など新型コロナに感染したおそれのある小学校等に通う子ども(※)

※新型コロナウイルスに感染した者,発熱等の風邪症状が見られる者,新型コロナウイルスに感染した者の濃厚接触者

支給額は休暇中に支払った賃金相当額×10/10です。ただし,日額上限は8,330円で大企業,中小企業ともに同額です。

 

3.厚生年金保険料等の猶予制度

厚生年金保険料等を一時に納付することにより,事業の継続等を困難にするおそれがあるなどの一定の要件に該当するときは,納付すべき保険料等の納期限から6か月以内に管轄の年金事務所へ申請することにより,換価の猶予が認められます。

 

4.時間外労働等改善助成金の特例

新型コロナ対策として新たにテレワークの導入や特別休暇の規定を整備した中小企業事業主を支援するため,特例的なコース(テレワークコース)が設けられました。

次のような取組を行った場合には該当費用の1/2が補助されます(上限100万円)。

・テレワーク用通信機器(※)の導入・運用

・就業規則・労使協定等の作成・変更

・労務管理担当者に対する研修

・労働者に対する研修,周知・啓発

・外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング等

※パソコン,タブレット,スマートフォンの購入費用は対象となりません。

 

上記以外にも,日本政策金融公庫が通常実施している融資の金利を引き下げたり,中小企業庁や信用保証協会が保証枠を拡大したり,経済産業省がセーフティネット貸付の要件を緩和したり,商工中金や日本政策投資銀行が資金繰り支援を検討したりしています。

何とかこの危機を乗り切りましょう。

居住者か非居住者か

2020-03-14(土) 14:03:59

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国内居住か国外居住かで所得税が課税される所得の範囲は異なります。

原則として,日本人であっても国外に居住し国外で得た所得については日本の所得税は課税されませんが,複数の国を行き来している人の場合には判断が難しい場合もあります。

 

まず,所得税法では個人の納税者を居住者と非居住者に区分し,更に,居住者を永住者と非永住者に区分しています。

 

それぞれの定義は次のとおりです。

  • 居住者とは,国内に「住所」を有し,又は,現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいう。
  • 居住者のうち非永住者とは,日本国籍を有しておらず,かつ,過去10年以内において国内に住所又は居所を有していた期間が5年以下である個人をいう。
  • 非永住者以外の居住者を永住者という。
  • 非居住者とは,居住者以外の個人をいう。

 

よって,日本国籍を有している人は,非永住者以外の居住者(永住者)か非居住者のどちらかに該当することになります。

 

 

次に,それぞれの課税所得の範囲は次のとおりです。

  • 永 住 者…すべての所得
  • 非永住者…国外源泉所得以外の所得と国外源泉所得のうち国内において支払われ,又は国内に送金されたもの
  • 非居住者…国内源泉所得

 

永住者は全世界で得たすべての所得に対して日本の所得税が課税されますが,非居住者の場合は日本国内で生じた所得に対してだけ日本の所得税が課税されます。

 

よって,生活の本拠を国外に移して非居住者に該当するようになれば,所得の種類等によっては日本での課税所得がかなり減少する場合もありますが,何をもって生活の本拠が国外であると判断するかは非常に難しいところです。

 

生活の本拠とはすなわち住所のことですが(民法22),所得税基本通達2-1では「法に規定する住所とは各人の生活の本拠をいい,生活の本拠であるかどうかは客観的事実によって判定する」としています。

 

客観的事実とは,住居,職業,資産の所在,生計を一にする配偶者その他親族の所在等の客観的事実を総合的に勘案して判断がなされます。

 

複数の国を行き来している人の場合はそれぞれの国での滞在日数も判断材料の一つとされますが,本人の主観的な居住意思は住所の判定に無関係であるとはいえないものの,外部から認識し難い場合が多いため,補充的な考慮要素にとどまるものと解されています。

 

よって,自分の意思だけで生活の本拠が国外であると決めることはできません。

 

また,有名な武富士事件(最高裁H23.2.18判決,香港で株式贈与を受けることで日本の贈与税を回避しようとして課税当局から否認された事件。当時,国外での贈与には日本の贈与税は課税されなかった)では,生活の本拠を香港に移し,香港で株式贈与を受けることで日本の贈与税課税を回避するという目的の下に国内での滞在日数が多くなりすぎないよう調整していたとしても,客観的な事実関係等から香港居宅に生活の本拠たる実体があることを否定する理由にはならないとして,租税回避の意図があったとしても,住所の判定は客観的事実に基づいて判断すべきであると判示されました。

 

このように,居住者であるか非居住者であるか,すなわち生活の本拠である住所が国内であるか国外であるかは客観的事実によって判断されるわけですが,判定基準の要素には優劣があり,過去の判決においては,職業,滞在日数及び住居を重視して判断される傾向にあるようです。

 

サラリーマンで海外赴任となった人であれば居住者か非居住者かの判断に迷うことは少ないと思いますが,会社経営者で日本と国外を行き来している人の場合にはなかなか判断が難しいケースがあります。税額への影響が大きいだけに慎重に判断したいところです。

 

(参考)月刊税理2020年01月号193頁

 

生命保険金と生命保険契約に関する権利について

2020-03-04(水) 11:44:12

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<生命保険金の課税関係>

被相続人の死亡により取得した生命保険金が相続税の課税対象となることは広く知られておりますが,保険料負担者(一般的には契約者)の違いにより,課税関係は次のとおりとなります(父が亡くなった場合)。

被保険者 契約者 保険金受取人 税金の種類
1 相続税
2 贈与税
3 所得税

 

1は,父が自分を被保険者として生命保険に加入し,子が生命保険金を受け取ったケースで,父から子への財産の移転としてみなして相続税の課税対象となります。

2は,母が父を被保険者として生命保険に加入し,子が生命保険金を受け取ったケースで,母から子への財産の移転とみなして贈与税の課税対象となります。

3は,子が父を被保険者として生命保険に加入し,自分(子)が生命保険金を受け取ったケースで,自らの所得として所得税の課税対象となります。

 

このうち1のケースについては,相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人を除く)が受け取った生命保険金のうち「500万円×法定相続人の数※」までの金額については相続税がかからないこととされています(※養子がある場合は一定の制限有り)。

 

相続が発生し実際に生命保険金を受け取っている場合には相続税の申告漏れは余り考えられませんが,次の「生命保険契約に関する権利」については,しばしば申告漏れとなることがあるので注意が必要です。

 

<生命保険契約に関する権利について>

生命保険契約に関する権利とは,相続が発生した場合において,まだ保険事故が発生していない生命保険契約(いわゆる掛捨ての保険契約を除く)で,その保険料の全部又は一部を被相続人が負担しており,かつ,被相続人以外の人がその契約者である場合の権利のことをいいます。

例えば次のような場合です。

被保険者 契約者 保険金受取人

 

上記のような,父が契約者(一般的には保険料負担者)で,母が被保険者である生命保険契約については,父が亡くなった段階では生命保険金は支払われず,父亡き後に契約者変更で母が契約者となり,その後,母が亡くなった段階で生命保険金が子に支払われます。

父が亡くなった段階では生命保険金は支払われませんが,契約を引き継いだ母がその後解約すれば解約返戻金を受け取ることができますので,父が亡くなった段階において,この解約返戻金相当額が「生命保険契約に関する権利」として相続税の課税対象になります。

 

しかし,死亡による契約者変更という課税事由を税務署が把握するのは容易ではなかったことから,これまでは生命保険契約に関する権利の相続税の申告漏れは頻繁に見受けられました。

 

このため,平成30年1月1日以後に生命保険契約等に関して死亡による契約者変更が生じた場合には,その保険会社等は税務署に対し,翌年1月31日までに「保険契約者等の異動に関する調書」を提出しなければならないこととなりました。ちなみに,平成30年中に死亡により生命保険契約等の契約者変更が生じ,期日までに提出された調書はおよそ10万枚にのぼるそうです。

 

生命保険契約に関する権利の評価額は,相続開始の時においてその契約を解約するとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額によって評価します。

なお,解約返戻金以外に支払われることとなる前納保険料や剰余金の分配額等がある場合にはこれらの金額を加算し,解約返戻金の額につき源泉徴収されるべき所得税の額がある場合には,その金額を差し引いた金額により評価します。

令和2年度税制改正大綱

2020-01-19(日) 15:27:35

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【令和2年度税制改正大綱】

12月20日に政府税制調査会から令和2年度税制改正大綱が発表されました。

その中から,いつかは封じ込められると言われ続けてきた節税策のうち,今回の税制改正でついに規制されることになったものをご紹介します。

 

<海外不動産から生じた赤字の損益通算規制>

これまで,多額の給与所得がある個人が,海外不動産を購入してこれを賃貸し,作為的に赤字の不動産所得を生じさせて給与所得と相殺(損益通算)することで所得税及び住民税の軽減を図る節税策が横行していましたが,この方法が規制されることになりました。

 

新築信奉者が多い日本とは異なり,米国では築50年の中古住宅でも新築と遜色なく取引が行われ,賃貸需要もあります。

そこで,これを1億円で購入し,毎年の減価償却費を2,500万円として4年間賃貸しますと不動産所得としては当然赤字となり,この赤字と給与所得を相殺することで所得税及び住民税を軽減することが可能でした。

4年経過後に1億円で譲渡することで資金を回収すれば,譲渡所得に20%の分離課税がされたとしても,何もしないままの給与所得に対する総合課税よりは節税になったわけです。

これが規制されることになりました。

 

◇具体的な改正内容は次のとおりです。

「個人が,令和3年以後の各年において,国外中古建物から生ずる不動産所得を有する場合において,その年分の不動産所得の金額の計算上,国外不動産所得の損失の金額があるときは,その国外不動産所得の損失の金額のうち国外中古建物の償却費に相当する部分の金額は(略)生じなかったものとみなす。」

 

この場合における「国外中古建物」とは,個人が取得した国外にある建物で,不動産所得の金額の計算上その建物の減価償却費を計算する際の耐用年数をいわゆる「簡便法」により算定しているものをいいます。

よって,簡便法ではなく法定耐用年数で減価償却費を計算している場合には規制の対象外です。

また,規制対象は個人所有の場合だけで,法人所有については言及されていません。

令和2年以前に取得した海外不動産であっても,令和3年以後の所得税及び住民税の計算においては改正内容が適用されるようです。

 

<居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除制度等の適正化>

居住用の家賃収入は消費税非課税ですが,居住用建物を購入する場合は消費税課税です(土地は非課税)。

やり方を工夫すれば建物購入時に支払った消費税の還付を受けることも可能でしたが,これが規制されることになりました。

 

これまで,賃貸不動産を購入する場合において,その目的が資産形成であっても相続税対策であっても,賃貸不動産の購入時における消費税還付というのは一つのテーマであり,古くは自動販売機方式が流行り,最近では金地金方式が主流になっていましたが,いつの時代も課税当局と納税者のイタチごっこが繰り返されてきました。今回の改正では仕入税額控除そのものが認められないこととなり,根本的に規制されることになりました。

 

◇具体的な改正内容は次のとおりです。

「住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物であって高額特定資産に該当するもの(以下「居住用賃貸建物」という。)の課税仕入れについては,仕入税額控除制度の適用を認めないこととする。ただし, 居住用賃貸建物のうち,住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分については,引き続き仕入税額控除制度の対象とする。」

 

上記の改正は令和2年10月1日以後に居住用賃貸建物の仕入れを行った場合について適用されます。

ただし,同年3月31日までに締結した契約に基づき同年10月1日以後に居住用賃貸建物の仕入れを行った場合には適用されません。

未払決算賞与の損金算入時期

2019-12-05(木) 16:49:52

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事業年度終盤になると1年間の業績もおおよそ予測がつきますので,業績の良い法人では決算対策の一環として使用人に決算賞与を支給することがあります。

決算対策ですので,当然,当該事業年度の賞与として費用に計上したいところですが,そのためにはいくつか条件があります。

 

まず,法人税法上の使用人賞与の損金算入時期は,次に掲げる区分に応じ,次に掲げる事業年度です。

 

(1) 労働協約又は就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与(使用人にその支給額が通知されているもので,かつ,その支給予定日又はその通知をした日の属する事業年度においてその支給額につき損金経理したものに限る)→ その支給予定日又はその通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度

 

(2) 次に掲げる要件の全てを満たす賞与 → 使用人にその支給額の通知をした日の属する事業年度

イ その支給額を,各人別に,かつ,同時期に支給を受ける全ての使用人に対して通知をしていること

ロ イの通知をした金額を通知した全ての使用人に対しその通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払っていること。

ハ その支給額につきイの通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。

 

(3) (1)及び(2)以外の賞与 → その支払をした日の属する事業年度

 

(1)は予め支給日が決まっている通常の使用人賞与のことですので課税上余り問題になることはなく,実務上,しばしば課税当局から課税上の問題を指摘されるのは専ら(2)についてです。

 

具体的には次のような場合で,今期の業績が好調だった法人が社員の頑張りに報いると同時に利益圧縮を図るため期末間近になって決算賞与の支給を決定することはよくあることですが,実際の支給が翌事業年度になった賞与まで無条件に損金算入を認めてしまうと,事業年度終了後に未払賞与を計上することで課税所得をいくらでも減らすことが可能となってしまい,課税上問題であると言わざるを得ません。

 

そもそも法人税法では,債務が確定した費用のみ損金に算入することができ,まだ債務が確定しているとは言えない見積計上や引当金は,法令に別段の定めがあるものを除き,損金算入は認められません。

 

しかしながら,債務の確定が確証できる未払賞与についてまで損金算入を認めないというのも,それはそれで他の債務が確定した未払費用の損金算入が認められることと整合性が取れませんので,上記(2)のような条件を満たした未払賞与については,その損金算入が認められることになっています。

 

すなわち,未払賞与を損金算入するためには,①事業年度が終了する日までに各人に支給額を通知し,②事業年度終了後1か月以内に通知した者全員に通知した金額を支給し,③その事業年度で未払計上することが条件となっています。

 

これらの条件のうち,実務上,特に厄介なのが「通知をしていること」という条件です。

法令上は文書での通知が必要とは規定されていませんが,後日,税務調査があった場合には「通知をしていること」を立証する必要がありますので,口頭ではなく文書で通知することが必要となります。

 

更に,文書そのものは日付を遡って作成することが可能ですので,より念を入れて,事業年度終了の日までに通知したことを客観的に立証できるようにしておくことが必要です。

公証役場での確定日付までは必要ないと思いますが,社員一人ひとりから通知書の受領書を取得するという方法は広く用いられているようです。

 

また,法人によっては支給日に在職する使用人のみに賞与を支給することとしている場合がありますが,この場合のその支給額の通知は,ここでいう「通知」には該当しません。

よって,未払賞与を損金算入するためには,支給日において既に退職している使用人がいたとしても通知額どおりに支給する必要があります。