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実行税率だけを議論する不思議

2010-10-26(火) 07:36:03

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来年度の税制改正論議が新聞の紙面を盛んに賑わせています。

その中の主要項目の一つとして取り上げられている法人税の実効税率の引き下げ論。

法人税の税率を下げることが、日本経済の活性化にいくばくかでも貢献するのであればもちろん賛成です。

しかし、実効税率を下げろと主張する方々の議論を聞いていると、その論調にいささか説得力の無さを感じます。彼らの多くは、諸外国と比較して日本の税率は高い、だから外国から日本に進出しようとする企業が少ない、あるいは、日本企業の国際競争力を妨げている、と主張する。

こういった論調は間違ってはいないと思いますが、実は、実効税率を下げるだけでは日本に進出する企業は増えないでしょうし、日本企業の国際競争力もたいして強くなりません。

その理由は以下の通りです。

例えば、Aという国にある企業の今期の収入が1,000、経費が800だったとします。

会計上は差し引き200が利益ということになりますが、この200に対していきなり税率を乗じて税金を計算するわけではありません。

国により政策的に、800のうち700しか法人税を計算する上で経費とは認めない、あるいは600しか経費とは認めない、ということがあるわけです。

日本であれば、交際費や寄付金はある一定の限度額が設けられていて、支出した金額の全てが法人税を計算する上での経費となるわけではありません。

交際費について、フランスは全額経費計上が可能ですが、アメリカは50%だけ経費計上が可能、ドイツは70%が可能、というように国によって違いがあるわけです。

(ちなみに日本は大企業は全額経費計上不可、中小企業は600万円までの90%だけが経費計上可能でそれを超える部分は不可となっています。)

このように、同じ金額の所得であっても、税率を乗じる前の段階で国によって違いがあるのですから、そこから議論を始めないと何の意味もないわけです。

しかし、こういうことをマスコミはあまり報道しませんし、代議士でこういったことに言及しているのを聞いたことは少なくとも私はありません。

民主党政権になってから増税ばかりの税制改正が目立ちますが、折角の減税論議なのでしっかりと検討して頂きたいと思います。

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