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改正区分所有法の概要

2026-09-07(月) 11:36:57

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令和8年4月1日,分譲マンションの管理や再生のあり方を根本から変える「改正区分所有法」が施行されました。

 

この法律は,マンションを始めとする区分所有建物が高経年化し,居住者も高齢化する「2つの老い」が進行しているという社会経済情勢等に鑑み,マンションの新築から再生までのライフサイクル全体を見通して,その管理及び再生を円滑化するため,区分所有法制の見直しを行うこと等を内容とするもので,その主な改正点は次のとおりです。

 

1.決議要件の合理化

決議に参加しない無関心な区分所有者の存在が円滑な決議を阻害している状況を改善するため,改正後は,建替え決議など区分所有権の処分を伴う決議を除き,決議は出席者の多数決によることとなりました。

なお,出席者には議決権行使書や委任状により議決権を行使した者を含み,普通決議の場合には法律上の定足数(出席者数)の制限はありません。

一方,特別決議の場合には,区分所有者数及び議決権の各過半数という定足数が新たに設けられました。

また,所在等不明の区分所有者の存在が円滑な決議を阻害している状況も散見されることから,裁判所が認定した所在等不明区分所有者(必要な調査を尽くしても氏名等や所在が不明な区分所有者)を全ての決議の母数から除外する制度が創設されました。

 

2.再生・売却手法の選択肢拡大

分譲マンションの数は2024年末時点で約713万戸ですが,建替え実績は累計で323件(約2万6千戸・2025年3月末時点)と極めて少なく,老巧化対策を推進することが喫緊の課題となっています。

そこで,迅速な建替えを推進するため,上記(1)の所在等不明区分所有者を決議の母数から除外することに加え,原則的な多数決割合である5分の4を維持しつつ,一定の客観的事由がある場合には多数決割合を4分の3に引き下げることとされました。

一定の客観的事由とは次の5つです。

(1) 耐震性の不足

(2) 火災に対する安全性の不足

(3) 外壁等の剥離により周辺に危害を生ずるおそれ

(4) 給排水管等の腐食等により著しく衛生上有害となるおそれ

(5) バリアフリー基準への不適合

 

また,区分所有者が賃貸している場合,建替え決議がされても賃借人の同意がない限り専有部分の賃貸借は終了しないため,建替え工事の円滑な実施が困難となることが想定されます。

そこで,建替え決議がされた場合,金銭補償を前提として,賃貸借の終了を請求した日から6か月経過により賃貸借を終了させる制度が新たに創設されました。

 

3.財産管理制度等の創設

区分所有者が専有部分・共用部分を管理せず放置していることで,他人の権利が侵害されるおそれがある場合に,管理人の選任を可能とする制度が創設されました。

この場合の管理人は,適切な管理を実現するため,管理命令の対象となった専有部分及び共用部分並びに管理命令の効力が及ぶ動産や権利を処分することも可能となります。

ただし,専有部分及び共用部分の処分には区分所有者の同意が必要です。

また,所在等不明区分所有者の専有部分の管理に特化した新たな財産管理制度も創設されました。

この場合の管理人は,裁判所の許可があれば区分所有者の同意がなくても専有部分の処分が可能となります。

なお,売却代金は所在等不明区分所有者のために供託されます。

いずれの管理人も,近隣住民や他の区分所有者といった利害関係者が裁判所に申立てを行い,裁判所が弁護士や司法書士等を選任します。

 

区分所有建物は国民の1割以上が居住する重要な居住形態でありますから,今回の改正法が日本の都市環境維持に寄与し,加えて,新たな都市再開発の契機になると期待します。

 

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