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グループ法人税制の概要

2024-05-10(金) 17:40:02

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グループ法人税制とは,100%の資本関係で結ばれた企業グループはその経済的実態はあたかも一つの企業と同じであるから,その企業グループ内で行われた一定の取引には課税関係を生じさせないこととする制度です。

よって,グループ企業間で一定の資産を移転させた場合であっても,その時点では譲渡損益を認識せずに一旦繰延べ,グループ外へ移転した時,譲受法人において減価償却や除却等を行った時,あるいは完全支配関係がなくなった時等に譲渡損益を認識します。

なお,グループ法人税制は要件に該当すれば強制的に適用され,申請や届出は必要ありません。

 

<適用法人>

100%の資本関係(完全支配関係)を有する法人が対象となります。

一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係のみならず,一の者との間に当事者間の完全支配関係がある法人相互の関係も含みます。

 

<譲渡損益の繰延べ>

含み損益のある資産を完全支配関係があるグループ内で譲渡すると譲渡損益が繰延べられます。

例えば,完全支配関係がある法人Aと法人Bとの間で,法人Aが簿価3,000万円の土地を法人Bに5,000万円で譲渡した場合における譲渡益2,000万円は,会計上は譲渡益を認識しますが,法人税申告書において同額を減算することで結果として繰延べられます。

その後,法人Bが当該土地をグループ外の法人Cに譲渡した場合,法人Aにおいて,それまで繰延べられてきた2,000万円を法人税申告書において所得に加算することで繰延べが終了します。

譲渡損益の繰延べの対象となる一定の資産(譲渡損益調整資産)は,次の資産のうち,譲渡直前の帳簿価額が1,000万円以上のものをいいます。

(1)固定資産

(2)棚卸資産たる土地(土地の上に存する権利を含む)

(3)有価証券(売買目的有価証券を除く)

(4)金銭債権

(5)繰延資産

ここで注意したいのが,繰延べの対象となる譲渡損益調整資産は帳簿価額が1,000万円以上であるという点です。

時価ではありません。帳簿価額が1,000万円未満の場合は時価がいくらであっても譲渡損益が実現してしまいます。

 

<通知義務>

譲渡法人がその有する譲渡損益調整資産を譲受法人に譲渡した場合には,その譲渡の後遅滞なく,譲受法人に対し,その譲渡した資産が譲渡損益調整資産に該当する旨を通知しなければなりません。

また,譲受法人は,譲渡損益調整資産につき戻入事由(譲渡,償却,評価換え,貸倒,除却等)が生じたときには,その旨及びその生じた日を,その事由が生じた事業年度終了後遅滞なく,譲渡法人に通知しなければなりません。

そうしないと譲渡法人で全部又は一部の繰延べ終了を認識することができないからです。

 

<受取配当等の益金不算入>

完全支配関係がある法人間の配当等の額については,その全額を益金の額に算入しないこととされ,また,負債利子控除の適用もありません。

 

<受贈益と寄付金について>

内国法人が完全支配関係(法人による完全支配関係に限る)がある他の内国法人から受けた受贈益の額は,その受贈益の額を受けた内国法人の所得の金額の計算上,益金の額に算入されません。

一方で,この受贈益を提供した側,つまり寄付した内国法人においては,その支出した寄付金は損金の額に算入されません。

この受贈益と寄付金の取扱いは,寄付を受けた側と寄付をした側において表裏一体の関係になっています。

なお,この取扱いは,個人による完全支配関係がある法人間の受贈益及び寄付金については適用されません。

個人によって支配されているものには親族によって支配されているものも含まれており,そうしたケースにおいては相続税や贈与税の潜脱行為に利用される懸念があると考えられるためです。

 

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