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住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税

2016-02-29(月) 22:13:29

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父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた者が,その贈与を受けた年の翌年3月15日までにその住宅取得資金を自己の居住用家屋の取得の対価に充てて,且つ,同日までに居住を開始した場合には,その贈与を受けた住宅取得資金のうち一定金額について,贈与税が非課税となります。

 

この,上記一定金額すなわち非課税限度額が,平成27年から改正されていますので,以下,概略をご説明します。

 

まず,大きな改正点として,非課税限度額の区分が「住宅取得資金の贈与を受けた日」から「住宅用家屋の取得に係る契約の締結日」に変更されました。

 

〇各年分の非課税限度額は以下の通りです。

(イ)下記ロ以外の場合

住宅用家屋取得の契約締結日 良質な住宅用家屋 左記以外
平成27年01月~平成27年12月 1,500万円 1,000万円
平成28年01月~平成29年09月 1,200万円 700万円
平成29年10月~平成30年09月 1,000万円 500万円
平成30年10月~平成31年06月 800万円 300万円

 

(ロ)住宅用家屋の取得に係る消費税等の税率が10%の場合

住宅用家屋取得の契約締結日 良質な住宅用家屋 左記以外
平成28年10月~平成29年09月 3,000万円 2,500万円
平成29年10月~平成30年09月 1,500万円 1,000万円
平成30年10月~平成31年06月 1,200万円 700万円

 

尚,「良質な住宅用家屋」とは,省エネルギー対策等級4以上であること,耐震等級2以上であること等の要件を満たすことにつき,一定の書類により証明されたものをいいます。

 

平成27年中に住宅用家屋の取得契約を締結した場合

平成27年中に住宅取得資金の贈与を受けて,同年中に住宅用家屋の取得契約を締結した場合の非課税限度額は良質家屋で1,500万円・それ以外で1,000万円ですが,物件の引渡し時期については注意が必要です。

 

そもそも,この住宅取得資金の贈与税の非課税制度は,贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住開始することが要件の1つとなっていますので,仮に工事期間延長等の理由で引渡し時期が遅れ,3月15日までに居住開始ができなくなってしまった場合には,この制度の適用はありません。

 

また,物件引渡しが平成28年である住宅用家屋の取得契約を平成27年中に締結した場合の非課税限度額は,契約締結日で判断しますので,上記と同様に良質家屋で1,500万円・それ以外で1,000万円です。

この場合,住宅取得資金の贈与を受けるのは,当然,平成28年中ということになります。平成27年中に贈与を受けても,この制度の適用はありません。

 

平成28年中に住宅用家屋の取得契約を締結した場合

平成28年の非課税限度額は,契約締結日と消費税率により区分されます。

 

まず,9月30日までに契約締結した場合の非課税限度額は,良質家屋で1,200万円・それ以外で700万円です。

 

次に,10月1日以後に契約締結した場合の非課税限度額ですが,こちらは適用される消費税率により異なり,適用される消費税率が8%の場合は9月30日までと同様に良質家屋で1,200万円・それ以外で700万円ですが,適用される消費税率が10%の場合には,良質家屋で3,000万円・それ以外で2,500万円と大幅に拡充されています。

 

非課税限度額が拡充されたのは納税者にとって有利であることは間違いありませんが,それとともに制度が複雑化しておりますので,確実に非課税の適用を受けるためには,契約締結日,物件引渡日及び贈与実施日につき,これまで以上に計画的に対応する必要があります。

 

仮に,要件を満たすことができず非課税の適用を受けられなかった場合には,改正前よりも多額の納税を迫られることになりかねませんのでご注意下さい。