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仮想通貨に関する税務の取扱い

2018-04-04(水) 09:28:44

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昨年11月から12月のたった1ヶ月の間に3倍以上に急騰した「ビットコイン」や,仮想通貨交換会社コインチェックから大量に流出した「NEM」が話題になっておりますが,今回はこれら仮想通貨に関する税務の取扱いを概観してみます。

 

まず,課税の問題が生じるタイミングは当然ながら所得(利益)が生じた時ですが,具体的には次のような場合に課税の問題が生じます。

①仮想通貨を売却(円やドルに換金)したとき

②仮想通貨で商品を購入したとき

③仮想通貨と仮想通貨を交換したとき

④マイニングにより仮想通貨を取得したとき

※マイニングとはブロックチェーンでの複雑な計算作業を行った対価としての報酬を仮想通貨で得ること。

 

①は100で購入した仮想通貨を120で売却した際の差額20が利益となり課税され,④はもらった仮想通貨そのものが利益となり課税されます。これらは比較的解りやすいと思いますが,②と③は具体例を用いて解説します。

 

<②の具体例>

3月9日 100万円で2ビットコインを購入した。

9月9日 7万円の商品購入に0.1ビットコインを支払った

この場合,0.1ビットコイン(簿価5万円)で,7万円の商品を購入できたことになりますので,2万円が利益となり課税されます。

 

<③の具体例>

3月9日 100万円で2ビットコインを購入した。

9月9日 1ビットコインを他の仮想通貨と交換した。交換時の他の仮想通貨の時価は60万円だった。

この場合,1ビットコイン(簿価50万円)で,60万円の他の仮想通貨と交換できたことになりますので,10万円が利益となり課税されます。

利益を計算するには保有している仮想通貨の簿価を適正に把握しておく必要がありますが,同一の仮想通貨を2回以上にわたって取得した場合における簿価の算定は移動平均法により計算します(継続適用を条件に総平均法によることもできます)。

 

次に所得区分ですが,仮想通貨により生じた所得は原則として雑所得に該当します。

但し,個人で事業を行っている人が,事業用資産として仮想通貨を保有し,これを決済手段として使用している場合には事業所得に該当します。

また,あまり例は無いと思いますが,仮想通貨による利益で生計を立てている場合も事業所得に該当します。

 

事業所得に該当しますと他の所得(給与所得や不動産所得など)との損益通算が可能となりますが,雑所得の場合は他の所得との損益通算はできません。

よって,仮想通貨により損失が生じた場合であっても税務上は何ら考慮されないケースがほとんどです。

 

よくある間違いとしては,給与所得者が副業で仮想通貨取引やFX等を行っている場合に,その仮想通貨取引等で生じた損失を給与所得と相殺して確定申告するケースが散見されますが,これは誤りです。

 

ちなみに,年末調整済みの給与所得者は他の所得が20万円以下の場合,確定申告は不要です。

但し,医療費控除や住宅ローン控除を適用するため確定申告する場合には,他の所得が20万円以下であってもこれを除外することはできません。

 

仮想通貨は一応通貨ですので商品購入などの決済手段として使用できますが,仮想通貨そのものの価値が変動するため,常に課税の問題と隣り合わせですので注意が必要です。