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消費税軽減税率制度の概要

2018-08-24(金) 10:35:35

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平成31年10月1日から消費税軽減税率制度が実施されます。

これは,消費税率を8%から10%に引き上げる際に,軽減税率対象品目については税率を8%に据え置くという制度です。これに伴い,事業者が日々の業務で対応が必要となる事項を以下にご説明します。

 

<軽減税率対象品目>

軽減税率対象品目とは次の2種類です。

 

酒類・外食を除く飲食料品

食品表示法に規定する食品(酒類を除く)をいい,一定の一体資産を含みます。外食やケータリング等は除かれますが,テイクアウトや出前・宅配は軽減税率の対象となります。一体資産とはおもちゃ付きのお菓子のように食品と食品以外の資産が予め一体となっている資産をいいます。

 

週2回以上発行される新聞

一定の題号を用い,政治,経済,社会,文化等に関する一般社会的事実を掲載する週2回以上発行されるもので,定期購読契約に基づくものをいいます。

 

上記軽減税率対象品目に関する売上げ又は仕入れがある事業者は,請求書の発行や会計帳簿を作成する際に,8%と10%の税率を適正に区分して経理処理を行う必要があります。

ほとんどの事業者が何らかの飲食料品を購入するでしょうから,現実にはほぼ全ての事業者で軽減税率制度への対応が求められることになります。

 

<対応が必要となる事項>

課税事業者が消費税の仕入税額控除の適用を受けるために対応が必要となる主な事項は次の2つです。

 

会計帳簿への記載事項の追加

①課税仕入れの相手方の氏名又は名称,②取引年月日,③取引の内容,④対価の額,⑤軽減税率対象品目である旨(⑤が追加されました)

 

請求書への記載事項の追加

①請求書発行者の氏名又は名称,②取引年月日,③ 取引の内容,④対価の額,⑤請求書受領者の氏名又は名称,⑥軽減税率対象品目である旨,⑦税率ごとに合計した税込対価の額(⑥と⑦が追加されました)

 

これまで会計帳簿についは上記①~④の記載が必要でしたが,今後は⑤の記載も必要となります。

同様に,これまで請求書については上記①~⑤の記載が必要でしたが,今後は⑥と⑦の記載も必要となります。

 

但し,3万円未満の少額な取引や自動販売機からの購入など請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由があるときは,現行通り必要な事項を記載した会計帳簿の保存のみで,仕入税額控除の要件を満たすこととなります。

 

尚,仕入先から交付された請求書に,⑥軽減税率対象品目である旨や⑦税率ごとに合計した税込対価の額の記載がない時は,これらの項目に限って,交付を受けた事業者自らが,その取引の事実に基づき追記することができます。

 

また,免税事業者であっても課税事業者に軽減税率の適用となる商品を販売する場合には,相手である課税事業者から区分記載請求書等の発行を求められますので上記対応が必要になります。

 

<軽減税率制度実施後の税額計算>

同制度実施後は,消費税率が標準税率と軽減税率の2つとなることから,売上げと仕入れを税率ごとに区分して税額計算を行う必要があります。

 

税額計算のイメージは次の通りです。

売上税額(A)=標準税率の税込売上×10/100+軽減税率の税込売上×8/108

仕入税額(B)=標準税率の税込仕入×10/100+軽減税率の税込仕入×8/108

納税額=(A)-(B)

 

実際の税額計算は会計事務所等に依頼することが多いと思いますので,標準税率と軽減税率を適正に区分して会計事務所等にお知らせする必要があります。

 

尚,平成35年10月1日以降は,適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入され,登録事業者が発行した請求書でなければ仕入税額控除の適用を受けられなくなります。これについては次号以降で概要をご説明します。