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新寄付金税制について ~税務調査で寄付金認定された場合~
平成22年度の税制改正で寄付金に対する税制上の取扱いが改正され、法人による完全支配関係にある
内国法人間の寄付については、
寄付をする内国法人においては損金不算入
寄付を受ける内国法人においては益金不算入
となりました。
この改正に関する法人税通達9-4-2の5の当局による解説では、 「無利息貸付などの金銭の授受を伴わない経済的利益の供与を受けた場合であっても、その利益供与が法人税法上の寄付金に該当する場合には、支払利息などを損金算入するとともに、同額の受贈益を益金に計上する両建て経理を行った上で、この受贈益が益金不算入になる。」 と記述してあります。
要するに、無利息で金銭の貸付を受けた場合であっても、支払利息に相当する金額を算定して、
(借方)支払利息 (貸方)受贈益
という仕訳を計上して、この受贈益が益金不算入だということです。
ここで、疑問なのが、平時は上記の仕訳を計上していなくて、税務調査でそれを指摘された場合です。
きちんと仕訳をしていれば益金不算入の取扱いを受けることができたのに、仕訳をしてない状態で税務調査の際にそれを指摘された場合、益金不算入の取扱いが受けられなくなってしまうのか?
結論としては心配不要です。
それは、新寄付金税制では確定決算や確定申告において上記のような両建て経理が求められているわけではないので、仮に税務調査で上記のような指摘があった場合であっても、きちんと益金不算入の規定の適用が受けられます。
税制改正の影響で保育料や健康保険料の負担も増加するかも知れません。
平成22年度税制改正において、子ども手当の導入に伴い、所得税と個人住民税の扶養控除の一部(0歳~15歳)が平成23年分から廃止されることとなりました。
また、高校授業料の実質無償化に伴い、やはり所得税と個人住民税の扶養控除の一部(16歳~18歳)が平成23年分から減額されることになりました。
これにより、所得税と住民税の負担が増加することになるわけですが、税金だけでなく、健康保険料や保育料の負担も増加する可能性があります。
といいますのは、多くの市区町村は国民健康保険料の保険料を、個人住民税の約1.2倍~1.5倍くらいで計算しています。
また、保育園の保育料や公営住宅の家賃も、個人住民税に連動させて負担額を決定している場合がほとんどです。
そうしますと、必然的に個人住民税の負担が増えれば、それに連動して国民健康保険の保険料や保育園の保育料が値上がりする、というわけです。
これは大変だ、ということで、現在、政府税制調査会では 「控除廃止の影響に係るPT(プロジェクトチーム)」 を立ち上げて、行政サービスの負担増を防ぐ対処案をまとめています。
マンション管理組合でも申告が必要になる場合があります。
区分所有マンションは区分所有者全員で管理組合を構成しなければなりません。
このとき、一般的には管理組合は法人格を持たない 「人格のない社団」 である場合が多いのですが、区分所有法は 「管理組合法人」 を設立することを認めています。
そして、どちらの場合も収益事業を営んでいる場合には税金の申告が必要になるのですが、管理組合が申告しなければならなくなる一番多いケースは駐車場を外部の人に賃貸している場合です。
マンションの駐車場を利用している人が区分所有者だけであれば問題ないのですが、空きが出て区分所有者に借りる人がいない場合、近隣の区分所有者以外の人に賃貸する場合があります。
そうすると、その区画だけの収入ではなく、他の区画の駐車場収入を含めて全体が申告の対象となります。
例えば、10台駐車場のあるマンションで、その全てを区分所有者が利用しているのであれば申告は必要ありませんが、1台でも区分所有者以外の外部の人に賃貸すると、10台分全ての収入が申告の対象となります。
1台分だけ申告すれば良い、ということにはならないので注意が必要です。
駐車場に空きがあり、管理費補てんのために外部に賃貸する場合には、このような課税の問題に留意する必要があります。
社長借入金がある会社でそのまま相続が発生すると残された家族が大変なことになります。
中小企業では金融機関からの融資が容易でない場合が多く、仕方なく社長が会社に資金を貸し付けることが多いのですが、これが多額に残ったまま社長にもしものことがあると、残された家族は大変なことになります。
会社の決算書に記載されている社長からの借入金は、社長から見れば貸付金です。
すなわち資産です。これは立派な相続財産です。
社長が会社にお金を貸し付けているということは、たいていは会社の営業成績が悪く、会社の株価評価は低いはずです。にもかかわらず、社長借入金の全額が相続財産です。
しかも、会社の営業成績が悪いのですから、返済の目処は当然立ちません。
このような状況で相続が発生すると、ほとんど回収できない貸付金に対して相続税が課税され、残された家族は納税資金不足に陥ります。
よって、社長借入金はそのまま放置しておくと大変なことになります。
ではどうすれば良いのかというと、以下のような解決策が考えられます。
①役員報酬を減額して、借入金の返済に充当する。
例えば、毎月100万円の役員報酬をとっていたのであれば、役員報酬を50万円に減額して、別途50万円を借入
金の返済として社長に支払います。
そうすれば手取りは変わらず、源泉所得税や社会保険料を減らすこともできます。
②債務免除益を計上する。
どうせ回収できない貸付金であるならば、思い切って債務免除してしまうこともできます。
債務免除をすると会社側で特別利益を計上する必要がありますが、これまでの欠損金が多額にある場合など
は、結果として法人税は課税されません。
③デッド・エクイティ・スワップをする。
会計上、社長借入金を資本金に振り替えてしまう方法です。
社長の貸付金という財産が株式に変わりますが、評価額は低いことが多いので相続税対策になります。
④不動産を社長が買い取る。
会社で所有している不動産がある場合には、借入金の返済にこれを充当する方法です。
上記のどの方法も一長一短がありますので、実行には顧問税理士との相談が必要です。
贈与でもらった不動産を未登記で7年経過すれば贈与税は回避できる!?
贈与による財産の取得の時期は、書面によるものは契約効力発生の時に、書面によらないものについてはその履行の時に贈与があったこととされています。
ただし、その贈与の時期が明確でないときは、特に反証のない限り、財産の登記があった時に贈与があったものとして取り扱われます。
では、次のような場合、贈与税は回避できるでしょうか?
Aさんは7年前に父から自宅とその敷地を贈与により取得し、その内容を公正証書にしてずっと保管してきました。本来であれば贈与により取得した年の翌年3月15日までに贈与税の申告をしなければならないのですが、登記名義人を変更しなければ税務署はわかるまいと思い、名義変更はしませんでした。
そして7年後、課税の時効が成立したと思い、父からAさんへ登記名義人の変更を行いました。
(租税債務の時効は最長で7年です。)
Aさんのロジックは、「公正証書という書面を残しているのだから、贈与契約の効力発生時はあくまでも公正証書を作成した時である。不動産登記は義務ではないのだから名義変更をしなかったことに問題はない。だから贈与税を課税することはできない。」 というものでした。
はたしてどうか?
税務署は、不動産の名義変更を行ったときが贈与のときであるとして当然に課税してきます。
Aさんは争います。
そして、国税不服審判所は次のように裁決しました。
「本件公正証書の作成目的は租税回避にあり、それ以外に特段の必要性がなかったものと推認され(中省略)、実態の伴わない形式的文書にすぎず、本件公正証書によって贈与が成立したとは認めることはできない」
当然と言えば当然です。
これが認められればみんなやります。
しかし、次のようなケースは課税されずに済みました。
亡きBさんの相続税の申告に関し税務調査がありました。
調査を進めていくなかで、亡きBさんが10年前に相続人Cさんに現金5,000万円を贈与していることが発覚しました。Cさんはその現金で不動産を購入し、その名義はCさんで登記しました。
が、Cさんは贈与税の申告はしていませんでした。
税務署は何とかして課税できないものか色々言ってきます。
現金贈与は書面がないから贈与は実行されていない、よってその現金(預金)は亡きBさんの名義預金だ、よって今回の相続税の課税対象だ。
あるいは、
名義預金で不動産を購入したのだからその不動産は登記上はCさんでも本来の所有者はBさんだ、よって今回の相続税の課税対象だ。
更には、
その現金は贈与ではなくて貸付金だ、よって今回の相続税の課税対象だ。
しかし、最後は税務署は諦めました。
租税債務の時効は7年ですから、贈与税を課税するためには10年前に贈与があったのではなく、その後に贈与があったことを税務署は立証しないとなりませんが、きちんと登記されているのですからそれは無理です。
次に、相続税で課税しようとすると、贈与した現金は実は贈与ではなく貸付金であったと立証しなければなりませんが、他の状況から当事者同士に返済する意思があったとは思えない事実がありましたのでそれも無理でした。
結局、何のおとがめなしです。
よって、
「贈与でもらった不動産を未登記だと7年経過しても贈与税は回避できない。」ですが、
「贈与でもらった不動産を登記して7年経過すれば贈与税を回避できる。」場合もある、と言えそうです。
でも皆さんきちんと申告はしましょう。