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生命保険を活用した退職金の準備について

2021-01-27(水) 20:09:02

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退職金の支払いは,役員退職金はもとより従業員退職金であってもそれなりにまとまった資金が必要となりますので,年単位での資金繰りを予め計画しておく必要がありますが,退職金支給の資金繰りとして一般的に利用されるのが生命保険です。

 

<一般的な定期保険の取扱い>

いわゆる掛け捨て保険と呼ばれる生命保険で,一般的には満期保険金や解約返戻金はありません。

掛け捨てですので支払った保険料がそのまま消えて無くなってしまう可能性があります。

そのため法人税法においては,被保険者を役員又は使用人として契約し,保険金受取人が法人であっても役員又は従業員の遺族であっても,支払った保険料は会社の費用となります。

ただし,特定の役員又は使用人のみを被保険者としている場合には,当該保険料は当該役員又は使用人に対する給与となります。

 

<終身保険の取扱い>

一生涯保障が続く終身保険は,保険事故が発生した際には必ず保険金が支払われます。

よって,支払った保険料が必ず戻ってくるため,貯蓄と同様と考えられることから,被保険者を役員又は使用人として契約し,保険金受取人を法人とした場合には,支払った保険料は会社の費用とはならずに資産計上することになり,保険金受取人を役員又は使用人の遺族とした場合には,当該保険料は当該役員又は使用人に対する給与となります。

 

<養老保険の取扱い>

貯蓄型の生命保険である養老保険は,保険期間満了時には満期保険金があり,死亡時には死亡保険金があります。

満期保険金と死亡保険金の受取人を別々に設定することも可能です。

法人税法での取扱いは,被保険者を役員又は使用人として契約し,満期保険金及び死亡保険金の受取人をともに法人とした場合には,上述した終身保険と同様に貯蓄性が高いことから,支払った保険料は会社の費用とはならず資産計上することになり,満期保険金及び死亡保険金の受取人をともに役員又は使用人の遺族とした場合には,当該保険料は当該役員又は使用人に対する給与となります。

そして,満期保険金受取人を法人とし,死亡保険金受取人を役員又は使用人の遺族とした場合には,支払った保険料の1/2を資産計上し,残りの1/2は会社の費用となります。

ただし,特定の役員又は使用人のみを被保険者としている場合には,当該保険料は当該役員又は使用人に対する給与となります。なお,この契約形態は通称「福利厚生プラン」等と呼ばれています。

 

<従業員退職金への準備として>

各種生命保険の法人税法における取扱いは上述のとおりですが,こうして見てみると,従業員退職金への準備としては,養老保険の福利厚生プランが最も経済合理性が高いと言えます。

一般的な定期保険ですと保険事故が発生しなかった場合に退職金を支払うことができませんし,終身保険で法人受取人だと保険料が費用とならず,役員又は使用人受取人だと給与として所得税が課税されてしまいます。

一方,養老保険の福利厚生プランであれば,保険料の1/2が会社の費用となり給与課税もされず,また,保険事故が発生しなくても満期保険金を受取ることができるため退職金の支払いに計画的に備えることができます。

 

<役員退職金への準備として>

従業員と同様に養老保険の福利厚生プランも活用できますが,役員の場合はより高額な退職金となるため他の保険も合わせて計画することが必要となり,一般的には長期平準定期保険や逓増定期保険などが利用されます。

これらは定期保険ではありますが解約返戻金がある定期保険で,役員退職金の支給に合わせて保険を解約し,その解約返戻金を退職金の原資とします。

長期平準定期保険や逓増定期保険などは解約返戻金が高額となるため,法人税法での取扱いは上述した定期保険の取扱い(原則)とは異なり,支払った保険料の返礼率により,資産計上する金額と会社の費用となる金額とが決まります。

 

従業員退職金も役員退職金も,死亡退職の場合を除きその支給時期が予めわかっているわけですから,計画的に準備を進めておきたいところです。

 

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