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裁判例

届出通りに支給しなかった事前確定届出給与の取扱い

掲載:2013-09-11

税目
法人税
裁判年月日
東京高裁平成25年3月14日判決

原告は,役員に対する夏季賞与と冬季賞与について,冬季賞与は税務署へ提出した「事前確定届出給与」通りの賞与を支給したものの,その後の夏季賞与については「事前確定届出給与」と異なる金額の賞与を支給しました。

 

そして原告は,「事前確定届出給与」と異なる金額を支給した夏季賞与については,法人税の計算上,損金の額に算入されない,すなわち経費にならないとして税務処理をしましたが,「事前確定届出給与」通りに支給した冬季賞与については,損金の額に算入される,すなわち経費になるとして税務処理し,確定申告をしました。

 

ところが課税当局は,その賞与の支給が「事前確定届出給与」通りであるか否かの判定は,役員の職務執行期間を通じて判定すべきである,すなわち冬季賞与についても「事前確定届出給与」に該当しないとして更正処分を行いました。

 

原告はこれを不服として提訴。

 

以下,裁判所の判断です。

事前の定めよりも実際の支給額が減額された場合については,所得金額が多くなるわけだから課税上の弊害が生じるおそれはないようにみえるが,事前の届出通りに支給されていないことにほかならず,事前確定届出給与の要件を満たさないことになる。また,確定額を下回る場合でも損金算入することになれば,確定額を高額にしていわば枠取りをしておき,支給額を減額して損金の額をほしいままに決定できてしまうことになる。

よって,1回でも事前の届出通りにされなかったものがあるときは,役員給与の支給は全体として事前の届出通りにされなかったこととなる。

 

として原告の訴えを斥けました。

 

 

20130314