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保険料贈与プランによる節税対策と納税資金対策

2015-12-27(日) 10:04:52

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相続税の納税資金対策として,親が子に生命保険の保険料相当額の現金を贈与し,子がその現金で親を被保険者とする生命保険契約を締結するという「保険料贈与プラン」があります。以下,概要を解説します。

<例>

①父から子へ現金贈与(金額により贈与税課税)

②子が生命保険に加入

  契約者:子  被保険者:父  保険金受取人:子

  父が亡くなったら保険金を子が受け取る契約

 ③贈与によりもらった現金で保険料を支払う

 

 

父が亡くなると子が死亡保険金を受け取りますので,それを相続税の納税資金に充てようというプランです。

父自身が契約者及び保険料負担者となって生命保険に加入する一般的なケースでは,その死亡保険金は相続税の課税対象となってしまいますが,子が契約者及び保険料負担者であれば,死亡保険金は相続税の課税対象とはならず,子の一時所得として所得税の課税対象となるので有利です(注1)。

 

 

この方法によれば,収入の無い子(幼児や学生)であっても生命保険料を支払うことが可能となり,親から現金贈与を受けた子が直ちに生命保険会社に保険料を支払うようにしておけば,手元に贈与資金が滞留することなく,子の金銭感覚や生活感を狂わせることはありません。

 

 

贈与する金額は暦年贈与の基礎控除内である110万円以下でも構いませんが,年間110万円の保険料で確保できる死亡保険金は70歳男性で1,500万円程度,70歳女性で2,000万円程度に過ぎません。

 

 

そこで,多少の贈与税を負担しても少し多めに贈与し,確保できる死亡保険金をもう少し上積みしたいところです。例えば,年間310万円を贈与したことによる贈与税は20万円(※2)ですが,税引後の290万円の保険料であれば,70歳男性の場合で約4,000万円,70歳女性の場合で約5,600万円の死亡保険金を確保できます(※3)。

 

 

この「保険料贈与プラン」を実行する場合には,次の点に留意が必要です。

①贈与者(父)から受贈者(子)への贈与は,贈与者の預金口座から子の預金口座へ振込みにより実行すること。

②保険料は子の預金口座から自動振替により支払うようにすること。

③毎年,贈与契約書を作成し,必ず贈与税の申告をすること。

④毎年の贈与契約書と贈与税申告書の控えは全て保管しておくこと

保険料を負担している子以外の所得税確定申告で,当該保険契約に係る生命保険料控除を適用しないこと。

 

これらの留意点を充足しない場合は保険料相当額の贈与があったものとは認められず,保険料はあくまでも父が負担していたものとして,その死亡保険金は相続税の課税対象であると認定されてしまうこともありますので注意して下さい。

 

注1:子の収入によっては必ずしも有利とはいえない場合があります。

注2:(310万円-110万円)×10%=20万円

注3:事例の死亡保険金は年払変額終身保険に加入した場合の目安です。

参考:国税庁事務連絡(昭和58年9月)「生命保険料負担者の判定について」

   山本和義「相続対策の基礎知識と標準業務の進め方」271頁(清文社,2014)